研究課題/領域番号 |
25462626
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高橋 克昌 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30326839)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内耳障害 / レドックス / 免疫抑制 / 酸化ストレス |
研究概要 |
生体における酸化還元反応(レドックス)を確認する手法について検討した。レドックスバランスが崩れて、生体が酸化状態に傾くと、過剰なフリーラジカルが産生される。フリーラジカルを直接測定するのは困難なので、反応生成物のヒドロペルオキシド濃度を呈色反応で計測し、生体内の酸化ストレスの状態を総合的に評価するd-ROMテストに着目した。酸化ストレスに晒されている対象として、全身抗癌剤投与前後の血液中のレドックスをd-ROMテストで推測した。治療中、白血球が減少して免疫抑制状態になった時にd-ROM値が最高値を示した。 次に内耳障害のモデルとして、メニエール病患者の発作期と非発作期におけるレドックスを測定した。より簡易に採取できる体液として唾液に注目し、乾綿球の咀嚼1分間で吸収された唾液を遠心分離で採取し、d-ROM値の変化を調べた。発作期と非発作期とで差がなく、内耳障害モデルにおいて唾液で内耳のレドックス状態を推測することは困難だった。しかし、健康成人を対象に唾液のd-ROM値を比較すると、非発作期でも患者群では優位に高値だった。このことは内耳障害の程度に関係なく、患者において日頃から酸化ストレスに晒されていると推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コントロールとして免疫抑制状態の血清サンプルを収集して、酸化ストレスが高度である比較対照を確保できた。内耳障害におけるレドックスを推測するのに有用な体液が、血液以外にないか検索し、唾液を対象にしたが不適切であることが明らかになった。血液のd-ROMテストで内耳障害を測定する実験系が有用であることが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度はヒトを対象に検討できるレドックス制御関連検査d-ROM/BAPを選定した。今後は動物モデルを使って、ヒトには与えられない過度の酸化ストレスを負荷しd-ROM/BAP値の変化を測定、酸化ストレスを軽減する薬剤の評価をする予定である。
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