研究課題/領域番号 |
25462627
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
杉本 晃 帝京大学, 医学部, 講師 (50436432)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 側頭骨再生 / 骨形成蛋白(rhBMP-2) / 耳小骨連鎖 / マイクロCT / 鼓室形成術 |
研究実績の概要 |
骨形成蛋白(BMP:bone morphogenetic protein)は骨再生を促進する成長因子の一つである。脱灰骨基質を皮下や筋肉内に移植し異所性骨誘導現象を発見され、骨基質中に骨形成を担うタンパク性因子の存在を示唆されBMPと命名された。現在BMPの臨床応用が始まっている。乳突部を含む側頭骨は含気骨に分類され、内部に蜂巣状空洞や感覚器等を有しているが、現在のところ解剖学的構造の特殊性もあり側頭骨でのBMPがどのように働くかについては十分に分かっていない。BMPを用い側頭骨での骨欠損部位に任意の大きさや形の骨再生が可能になれば、今後の中耳手術で有用でないかと考える。真珠腫性中耳炎等での、骨組織の欠損した状態において、生理的な本来側頭骨のもつ機能を再生させるために、この骨形成蛋白をもちい、今迄にない中耳手術の方法の基礎となりうると考える。新時代の鼓室形成術につながると考える。現在、モルモットを用いた側頭骨におけるBMPを用いた再建の研究をしている。 実験は、昨年度と同じく、ハートレイ系白色モルモットで、鼓膜正常のものを使用した。側頭骨の含気モデルを作ることに世界ではじめて成功した。側頭骨の含気化のシステムを解明すべく、含気化の因子の実験にとりくんだ。再建部位をCT上確認し、耳管機能が大きな因子であることを確認できた。良好な結果が得られて、今後の側頭骨の再建、聴力改善、および臨床応用への大きな道筋ができた。29年度は国際学会に発表し、現在査読のある有力英文雑誌に投稿済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、モルモット側頭骨全体を中耳根本術に準じた削開術の補法で、rhBMP-2を使用することにより、側頭骨の含気モデルを作ることに世界ではじめて成功した。側頭骨の含気化のシステムを解明すべく、含気化の因子の実験にとりくんだ。再建部位をCT上確認し、耳管機能が大きな因子であることを確認できた。良好な結果が得られて、今後の側頭骨の再建、聴力改善、および臨床応用への大きな道筋ができた。29年度は国際学会に発表し、現在査読のある有力英文雑誌に投稿済みであるため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
モルモットを用いた動物実験を行い、耳小骨の再生、耳小骨連鎖の再建、外耳道後壁を再建や、中耳腔、乳突腔の含気化の過程をCTにてひきつづき測定していく。今後含気化モデルに注目し、中耳腔、乳突腔の含気化の条件を調べ、側頭骨でのbone morphogenetic proteinの含気化に影響する因子を検討していく。今後は人を用いた、臨床応用も念頭におき検討していく。国際学会への発表、有力学会紙への投稿をひきつづき行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用機材の購入メーカーの工場が火災事故をおこし、物品の納入がおおはば遅れ、翌年度になったため。 予定していた学会参加が翌年度になったため、一部の使用額が翌年度に生じた。
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