研究実績の概要 |
研究概要は、PMP22を原因遺伝子とし臨床的および遺伝学的な多様性を有する運動感覚性ニューロパチーであるCharcot-Marie-Tooth病(CMT)のCMT 1が合併症として感音難聴を示すことがあることに着目し、さらに近年の報告では蝸牛障害も呈することが判明していることと解明するために、マウスを実験動物として用い、pmp22の内耳内局在と難聴発症の分子機構を解明し、聴力障害の予防および治療に関してアプローチしてゆくことである。平成25,26年度はその準備段階として動物実験モデルを用い、蝸牛神経および蝸牛内のpmp22の発現を免疫染色法を用いて同定し、今後pmp22変異マウスでの聴覚の電気生理的結果と、組織学的結果を照らし合わせ、pmp22の内耳機能および難聴発症機序を究明した。さらにヒト蝸牛内の発現も解析し、ヒトでの再現性についても検証する予定とした。マウスを用いた実験ではコントロールとしてC57BL/6マウスのpmp22のコードするタンパクであるPeriphral myelin protein(pmp22)の内耳内の局在を免疫染色法により走査型共焦点レーザー顕微鏡および蝸牛の凍結切片を用いて観察した。観察方法に関して、蝸牛内は主としてsurface preparationを用い、蝸牛神経はfrozen sectionを併用し、免疫染色は、EmbryoとPostnatal miceで経時的に行った。平成27年度では収集した標本のデータ解析を行った。実験結果としては収集した標本の中には蝸牛内の局在を同定することに至らなかった。また、ヒト側頭骨内での局在を同定することを試みたがホルマリン固定標本内で局在を同定する結果を得ることができなかった。今後データをさらに収集し、さらなる解析が必要となった。また症例の聴覚機能を調査したが、該当症例が思うように集まらず、十分な聴覚データを得ることができなかった。データ収集期間をさらに長くすることで症例数の確保に努めることが必要である。
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