本研究では、メニエール病の画像診断手法の確立と遺伝的要因を明らかにすることを目的に、メニエール病患者40例を対象に、臨床症状(めまい、難聴、耳鳴、耳閉感)の調査を行うとともに、ガドリニウム造影MRIを用いた画像診断を行い、内リンパ水腫の程度との臨床症状の関係、カロリック、VEMPなどの前庭機能検査との相関、グリセオールテストや蝸電図などの検査法との比較検討を行ない、メニエール病診断ツールとしての画像診断の有用性を検討した。 特に、メニエール病の発作期と寛解期における内リンパ水腫の程度を画像的に比較し、病態の変化と内リンパ水腫の程度の相関について検討する。また、メニエール病の治療に用いられる薬剤(浸透圧利尿剤、ステロイド、脳循環改善薬など)の投与前後で、内リンパ水腫の程度を比較する検討を行い、治療法の他覚的効果判定への有用性を検討した。その結果、鼓室内ガドリニウム造影3T-MRIにより、内リンパ水腫を描出することがメニエール病の診断に有用であること、また、浸透圧利尿剤の投与により内リンパ水腫が減少することを見出した。また、画像より診断したメニエール病患者(画像確実例)24名とコントロール96名を対象とし、過去にメニエール病との相関が報告されているSNPsについて対立遺伝子頻度を比較検討を行った。その結果有意差を認める複数のSNPを認めた。
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