研究課題/領域番号 |
25462633
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
西尾 信哉 信州大学, 医学部, 助教 (70467166)
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研究分担者 |
内藤 武彦 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (50467164)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 難聴 / 遺伝子 / KCNQ4 |
研究概要 |
KCNQ4遺伝子は、常染色体優性遺伝形式をとる非症候群性感音難聴(DFNA)のうちのDFNA2の原因遺伝子である。臨床的には後天発症(6歳以後)の進行性難聴であり、聴力像としては高音漸減型と高音急墜型の報告がある。しかしKCNQ4遺伝子変異や家系の報告が少ないため、その臨床的特徴の詳細はまだ明らかにはなっていない。 本年度はKCNQ4遺伝子変異が疑われる臨床像を有する患者を対象に遺伝子解析を行い、変異の種類、頻度につき検討を行った。また、聴力像などの臨床情報を収集し、データベースを構築を開始した。 具体的には、当施設および共同研究施設より臨床的にKCNQ4遺伝子変異が疑われる患者に書面で同意を得てDNAを採取し、KCNQ4遺伝子の解析を直接シークエンス法で行なった。また、必要に応じて次世代シークエンサーを用いた解析を組み合わせて行った。解析結果を元に、1000人ゲノム、6500エクソーム、日本人コントロールにおける変異頻度や家系解析を行い、見出された変異の病原性について検討を行った。その結果、新規変異を含む複数の遺伝子変異が見出された。また、聴力像などの臨床情報を収集し蓄積するための、データベースを構築するとともに実際にデータの収集を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね当初の計画通り、日本人難聴患者におけるKCNQ4遺伝子変異の解析を行うことができた。また、新規遺伝子変異を含むいくつかの変異を同定しており、今後臨床像との相関に関して検討を行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、cDNAよりクローニングしたKCNQ4遺伝子に、部位特異的変異導入法を用いて新規に見出されたKCNQ4 遺伝子変異を導入する。新規遺伝子変異を導入したKCNQ4遺伝子を鋳型に、無細胞タンパク質合成システム(Pure System)を用いてin vitroタンパク合成を行い変異タンパク質を合成する。得られた変異タンパクを用いて、ビアコアを使用し変異体同士の結合能を測定する。このときアナライト側に、変異KCNQ4を用いたときの結合能・解離能(カイネティクス)と、野生型KCNQ4を用いたときの結合能・解離能(カイネティクス)を比較検討する。 cDNAよりクローニングしたKCNQ4遺伝子に、部位特異的変異導入法を用いて新規に見出されたKCNQ4 遺伝子変異を導入する。新規遺伝子変異を導入したKCNQ4遺伝子にFlag-Tag、His-Tagを付加する。構築されたプラスミドを培養細胞に共導入し培養細胞内でタンパクを発現させる。培養細胞よりタンパクを抽出し、抗Flag抗体、抗His抗体を用いたPull-Down法により、変異型KCNQ4と野生型KCNQ4の結合能を解析する計画である。
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