本研究では、信州大学医学部耳鼻咽喉科および全国の共同研究施設より収集された症例を対象に遺伝子解析を行い、KCNQ4遺伝子変異による難聴家系54家系を見出した。このうちc.211delC(N-末端側に位置する変異)は特に頻度の高く、54家系のうち23家系はKCNQ4:c.211delC変異による難聴であり、日本人の優性遺伝性難聴家系に占める割合も高いことが明らかとなった。また、KCNQ4遺伝子変異を認めた症例の臨床情報の収集を行った結果、c.211delC変異による難聴では聴力像が高音急墜型を示すことが多く、また高音域では年齢と伴に聴力閾値が上昇するのに対して低音域は比較的保たれる傾向があった。また、症例の中には、低音部に残存聴力を有するため、残存聴力活用型人工内耳の適応が考えられるため、c.211delC変異による難聴患者の語音聴取能などを調べ最適な治療法に関して情報収集を行い変異の種類ごとに、難聴の程度や治療法に関して検討を行った。
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