研究実績の概要 |
内耳性難聴の原因疾患であり、近年高齢者で増加傾向にある突発性難聴の原因および発症のメカニズムは不明であるが、遺伝要因と環境要因で発症する多因子疾患であると考えられる。突発性難聴について、炎症や酸化ストレスとの関連を遺伝子多型の観点より検討をおこなった。receptor-associated kinase 1(IRAK1), CRP, COX2, PRKCH, uncoupling protein 2 (UCP2), methylenetetrahydrofolate reductase (MTHFR), ICAM1, glycoprotein 1a (GP1A), matrix metalloproteinase 3 (MMP3), matrix metalloproteinase 12 (MMP12)について、患者群とコントロール群との間で発症リスクを、多重ロジステイック回帰分析により検討したところ、年齢、性別、高血圧・糖尿病・高脂血症の有無を調整因子に入れた相加モデルで検討すると、UCP2 Ala55Val多型(rs660339)は、有意差を認め(p=0.0222, オッズ比は1.468)、minor allele のcarrierでは突発性難聴のリスクが増加することが示唆された。臨床症状との関連として、聴力予後良好群と聴力予後不良群との二群に分け検討したが、遺伝子型の分布に差はなかった。過去の報告ではUCP2 Ala55Val多型のT alleleを含む群では有意に中高年者における難聴の危険率が高かった。突発性難聴においてもUCP2 Ala55Val多型のT allele含有者はリスクが高いことがわかり、UCP2の内耳での役割の重要性が示唆された。以上の結果を論文作成し投稿をおこなった。
|