研究課題/領域番号 |
25462636
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
平海 晴一 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (10374167)
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研究分担者 |
山口 忍 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (50509552)
坂本 達則 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60425626)
山本 典生 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70378644)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 人工内耳 / 聴性誘発反応 |
研究実績の概要 |
平成27年度は小児において人工内耳埋め込み患者での聴性誘発電位の計測を開始した。昨年度までに構築した人工内耳刺激システムを使用、聴性誘発反応の計測を行った。昨年度に主任研究者が京都大学から岩手医科大学に転勤となったが、岩手医科大学で刺激音とトリガーを同時に音信号に変換して記録したところ、刺激音がトリガーより50 ms遅れていることが判明し、潜時の校正が必要であることが判明した。あらたに校正したシステムを用いて、人工内耳埋め込み患者5名で聴性誘発反応を計測した。5名の内訳は言語習得後失聴成人2名、言語習得前失聴小児3名である。日本語母音「あ」(以下「語音」)と、周波数分布を合わせた複合音(以下「非語音」)を交互に提示、その反応を調べた。特に小児では人工内耳のアーチファクトが大きく、FriesenとPicton(Friesen and Picton, 2010)の方法に準じて刺激間隔を2000 msと500 msの条件で計測、減算することでアーチファクトを除去した。正常被験者ではN1P2複合体は非語音で反応が大きく潜時が短縮するが、言語習得後失聴成人では大きさ・潜時とも両者で差が無いことが分かった。また聴覚心理学的にも語音と非語音の区別ができず、両方とも雑音と認識することが分かった。言語習得前失聴小児でも同様にN1P2複合体の大きさ・潜時とも、語音と非語音で差が無かったものの、言語習得前失聴小児に特徴的なN2では非語音で語音に比べて大きな反応を認めた。聴覚心理学的には語音と非語音の区別はある程度可能ではあるものの、両方とも語音と認識する傾向があった。本研究により、人工内耳患者では語音と非語音の区別がつきづらく、特に言語習得後失聴成人では語音と認識しづらい傾向を認めた。言語習得前失聴小児では正常被験者やに言語習得後失聴成人とは異なった反応を示しており、語音のカテゴリー化機序が異なっている可能性が示唆された。
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