研究課題
既知難聴遺伝子47座位を原因としない原因未知の難聴大家系の原因究明が本研究課題である。原因が究明されれば、まず家系内(特に、小児、幼児=罹患前)の予測診断を実施し、診療科とともに可能な限りの予防に取組み、併行して他の難聴患者さんの診断を実施したいと考えている。当該難聴大家系は、当初は発端者およびそのご両親・ご兄弟のみの受診であったが、受診者の協力もあり、本課題申請前までに家系図が5世代、42名、18名罹患者まで整い、原因究明の可能性が浮上していた。解析にはその確定診断が極めて重要なため、再度、本家系の血縁者の協力をお願いし、家系図については7世代、68名、うち28名罹患者まで拡大し、確定診断も改めて実施した。第I~III世代の方々はすでに死亡され、第IV~VI世代で検体および診療情報の集積可能な37名、うち12名罹患者を対象にDNA・診療情報の提供をいただき、解析に着手した。次世代シークエンサー(NGS)による解析は非常に高額なため、罹患者のうち、遺伝統計学的に最も効率的と判断される8名の罹患者を選出し、全ゲノム解析を実施した。NGSのbioinformaticsは解析途中であるが、これまでに我々が累積してきたコントロール群(約70例)との対比により、原因を疑う4領域(1領域100~数百kb)が抽出されている。本計画は3年間を見込んで進めているが、家系図再作成・拡大、確定診断の再実施、罹患者のNGS解析と計画より早く進行していると判断している。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の予定よりも極めて早く進捗している。特に、家系図の拡大、血縁者の協力が強くなったこと、さらに、世代を超えた診療情報の集積から重要な知見を得た。当初、発端者および一部の罹患者から得た情報では、発症年齢は20歳代後半から始まり、主に30~40歳代で進行して40歳代で音を失うと推察されていたが、診療情報を集めるうちに、発症が10歳代半ばで始まること、さらに自己認識しない早期でも発見できることが判ってきた。つまり、原因遺伝子の同定が成されれば、発症前診断、早期からの予防対策、さらに当該診療科や研究者に周知されることで、創薬の可能性も浮上する。そのためにも、計画を前倒しにして、早く原因究明を行いたいと考えている。一方、罹患者8名の解析で4領域に絞られたことを考慮すると、本家系の原因はほぼ決定できる見込みとなった。これらを考慮すると、自己評価による達成度は150%と確信しているが、原因を同定することによって少しでも発症を遅らせる対策に取組むことができること、さらに、治療に向けた取組みを具現化していくため、また、子供たちが音を失うことを避け、さらに、音を失った失望感を心配する親・祖母祖父のためにも、少しでも結果を出したいと考えている。
申請前の準備段階も良かったこともあり、極めて順調に研究は進んでいる。原因はほぼ同定される見込みが立ったが、その後の、予防法の確立や治療法の開発に向けた推進体制が必要と考えている。この点については、診療科とともに当該領域における他の施設の関係者に働きかけ、また、診断等も受けていけるようにしたいと考えている。
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