研究課題
申請者本人が平成26年5月1日付で、大阪大学准教授から奈良県立医科大学教授に赴任したため、新環境において耳鳴動物モデルの立ち上げを行った。[目的]我々はラットを用いた耳鳴動物モデルを考案するとともに、耳鳴を評価する分子マーカーとして聴覚伝導路における痛み受容体TRPV1 (Transient receptor potential cation channel superfamily V-1) の発現について検討した。[方法・結果]6~7週齢オスのwistarラットを用いた。ケージの天井に取り付けたスピーカーから呈示音を5秒間発し、その1秒後に底部の金網に電気ショックを与えると、ラットは壁を乗り越え隣部屋へ移動する。これを繰り返すと、ラットはスピーカーの音を聞くと電気ショックなしで隣部屋へ移動するようになる。これが目的行動であり、 10回の実験中8回 (80%) 以上この行動が認められるようになればテストへうつる。テストでは、条件付けされたラットにサリチル酸 (400mg/kg) を投与し、2時間後に同様の音呈示 (10回) を行い、音に正しく反応して隣部屋に移動した回数 (score) と無音状態で隣部屋に移動した回数 (false positive responses) をそれぞれカウントした。サリチル酸投与2時間後、false positive responsesの有意な増加を認め、ラットに耳鳴が生じている可能性が考えられた。なお、呈示音が16KHz・60dBの際に最も顕著に増加が見られたことよりサリチル酸投与時に生じる耳鳴は16KHz、60dBに最も近いと考えられた。次にreal-time PCR法およびwestern blot法により、サリチル酸投与2時間後にラセン神経節におけるTRPV1発現の上昇が認められた。以上より、ラット耳鳴動物モデルの立ち上げを確認した。
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Auris Nasus Larynx
巻: in press ページ: in press
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