研究課題/領域番号 |
25462644
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武田 憲昭 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30206982)
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研究分担者 |
北原 糺 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30343255)
阿部 晃治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (20346589)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティー / 仮想現 / 視覚と前庭・体性感覚不一致 / 姿勢制御 / 視覚依存性 |
研究概要 |
本研究の目的は、バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)により3次元の仮想空間を作成し、被験者に視覚情報と前庭情報が不一致(visual-vestibular conflict)の仮想空間での作業を行わせ、姿勢制御の視覚依存性を低下させ、体性感覚依存性を高めることで安定したバランスが獲得できる平衡訓練の開発を行うことである。 本年度は、まずVRにより視覚と前庭・体性感覚不一致(visual-vestibulosomatosensory conflict)刺激ソフトを作成した。コントロール刺激では、被検者があることそれに一致した背景が移動するが、不一致刺激では被検者は静止しているが背景が歩行時のように移動する。11人の健常人に対して不一致刺激を与えると、めまい感と平衡異常を自覚した。同時に、直立検査におけるロンベルグ率が低下した。この結果は、視覚と前庭・体性感覚不一致刺激により、静的姿勢制御の視覚依存性を低下させることができる可能性が示唆された。 次に、VRによりにより繰り返すオプティック・フォロー(optic flow)刺激ソフトを作成した。健常人12名を歩行させ、その正面に水平性または回転性の視覚刺激であるオプティック・フォロー刺激を繰り返し与え、歩行停止に与える影響を検討した。しかし、歩行停止時の偏倚は認められなかった。この結果から、繰り返すオプティック・フォロー刺激は動的姿勢制御には影響を与えないと考えられた。 姿勢制御の視覚依存性と体性感覚依存性を重心動揺から評価する方法を開発し、重心動揺データーの解析ソフトを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バーチャルリアリティーの自作のソフトウエアーを開発し、静的姿勢制御の影響を与える目的で前庭・体性感覚不一致刺激ソフトを作成することができた。また、動的姿勢制御に影響を与える目的でオプティック・フォロー(optic flow)刺激ソフトを作成することができた。その結果、前者のみが姿勢制御の視覚依存性に影響することが明らかになった。さらに、姿勢制御の視覚依存性と体性感覚依存性を重心動揺から評価する方法を開発し、重心動揺データーの解析ソフトを作成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
健常人にバーチャルリアリティーにより前庭・体性感覚不一致刺激とオプティック・フォロー(optic flow)刺激を与えたところ、前者のみが姿勢制御の視覚依存性に影響を与えると考えられたので、次年度は前庭・体性感覚不一致刺激を用いて研究を行う。 姿勢制御の視覚依存性と体性感覚依存性を重心動揺から評価する方法を開発し、重心動揺データーの解析ソフトを作成したが、視覚刺激との同期が取れていないので、インターフェースの改良を行う。 バーチャルリアリティーにより前庭・体性感覚不一致刺激が動的姿勢制御に与える影響を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
視覚刺激と重心動揺との同期が取れず、予定していた記録メディアの購入を行わなかったため。 同期がとれるようにインターフェイスを改良後に記録メディアを購入する。
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