研究課題/領域番号 |
25462648
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
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研究分担者 |
川野 利明 大分大学, 医学部, 助教 (30633424)
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慢性中耳炎 / インフルエンザ菌 / 制御性T細胞 / CD25 |
研究実績の概要 |
今回、抗CD25抗体を用いた制御性T細胞に対する分子標的治療の可能性について追加検討を行った。SPF下にて飼育した、雄性、 6週令、BALB/cマウスを用いた。慢性中耳炎モデルとしてインフルエンザ菌(107cfu)を中耳骨胞に注入し、耳管切断後にゼルホルムを挿入し慢性中耳炎モデルを作成した。中耳炎惹起後の2週間目、4週目、6週目に抗CD25抗体(PC61.5:250mg/mouse) を腹腔内投与した。対照マウスにはリン酸緩衝液(PBS)を腹腔内投与した。中耳炎惹起後8週目に中耳洗浄液(生食200ml)および中耳粘膜、頸部リンパ節、脾臓を採取した。中耳洗浄液を段階希釈にてチョコレート寒天培地にて培養後、中耳洗浄液中のインフルエンザ菌生菌数を計測した。中耳粘膜、頸部リンパ節、脾臓より単核球を採取した後に、フローサイトメトリーによりFITC標識CD4抗体、PE標識FoxP3抗体、Per-Cp標識CD25抗体にて染色を行い、制御性T細胞の動態について前回同様確認を行っている。中耳洗浄液上清を用いて、中耳洗浄液中のBio-Plex サイトカイン解析を行った。 中耳洗浄液中の生菌数では、抗CD25抗体処置群ではインフルエンザ菌陽性例は12.5%であり、PBS処置群では62.5%がインフルエンザ菌陽性であった。インフルエンザ菌陽性率は抗CD25抗体処置群と比較してPBS処置群は明らかに高率であった。Bio-Plexサイトカイン解析では、中耳洗浄液中のIL-1β、TNF-αなどの炎症性サイトカイン濃度においては2群間に明らかな有意差は認めないものの、CD25処置群において濃度の低下を認めた。今回、抗CD25抗体(PC61.5)の全身投与により、明らかな炎症性病態の改善には至らないものの、明らかな生菌数や生菌率の低下を認めることから、制御性T細胞が中耳局所における細菌免疫寛容に関与することが示唆された。
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