• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

好酸球性副鼻腔炎の病態形成における肥満細胞の役割に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25462660
研究機関福井大学

研究代表者

高林 哲司  福井大学, 医学部, 助教 (70397272)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード好酸球性副鼻腔炎 / 肥満細胞 / 好酸球 / 線維化 / Chymase
研究概要

好酸球性副鼻腔炎でもっとも単純な疑問は、なぜ鼻粘膜に多数の好酸球が浸潤してくるのかということである。古典的には炎症の際には好中球の浸潤が中心となるが、好酸球の浸潤は寄生虫感染においてよく見られる現象であり、最近の研究では寄生虫感染とアレルギー疾患の類似点もいくつか見つかってきている。この中で我々が注目したのは、好酸球の組織への浸潤には肥満細胞の存在が必須であることである。肥満細胞は全身の外界と接する至るところに存在し、種々の外界からの刺激に最も早期に反応する細胞でその後の炎症を左右する働きがある。しかも肥満細胞はその存在部位によって、刺激による反応性や含有プロテアーゼが異なり多彩な機能を有していることが分かっている。
これらのことを踏まえ、当院における副鼻腔炎手術で採取した病理組織標本を好酸球性副鼻腔炎と非好酸球性副鼻腔炎に分けて免疫組織化学を行った。興味深い発見の一つとして好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜には組織の線維化が極端に少ないことがある。更に好酸球性副鼻腔炎の鼻粘膜上皮の発現している肥満細胞には特有のプロテアーゼの一つであるChymaseの発現がほとんど見られないことを明らかにした。組織の線維化は創傷治癒過程において、創傷の収縮させることで重要な役割を果たしているが、Chymaseは線維芽細胞を介した組織の線維化を強く誘導する働きがあるので、好酸球性副鼻腔炎における肥満細胞のchymaseの低発現は鼻粘膜の線維化の低形成に関与し、本疾患の病態形成に深く関与していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

慢性副鼻腔炎の組織サンプルの採取は順調に進んであおり、臨床データも蓄積されているが今後、さらにサンプルを収集する必要がある。
ボランティアから末梢血を採取し血液幹細胞を分離し肥満細胞の作成に取り組んでいる。細胞株ではないので継続して作成が必要であるが順調に作成できつつある。

今後の研究の推進方策

今後慢性副鼻腔炎患者患者の臨床データの蓄積(一酸化窒素濃度の経時的変化、特異的IgEの測定データ、末梢好酸球数、副鼻腔CT,症状スコア)を積み重ね、手術摘出サンプルから得られたデータと比較検討を行う。
末梢血幹細胞から分離、作成したヒト肥満細胞を用いて、特に鼻粘膜上皮との相互作用について検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

免疫組織化学の進展が少し遅れたため未購入の抗体があるため。
免疫組織化学に使用する抗体を購入する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件)

  • [学会発表] 好酸球性副鼻腔炎の病態形成メカニズムにおける線溶系制御の検討2013

    • 著者名/発表者名
      高林 哲司
    • 学会等名
      第63回 日本アレルギー学会秋季臨床大会
    • 発表場所
      東京、ホテルニューオータニ
    • 年月日
      20131128-20131130
    • 招待講演
  • [学会発表] 肥満細胞の多様性と好酸球性副鼻腔炎に関する検討2013

    • 著者名/発表者名
      高林 哲司
    • 学会等名
      第63回 日本アレルギー学会秋季臨床大会
    • 発表場所
      東京、ホテルニューオータニ
    • 年月日
      20131128-20131130
    • 招待講演
  • [学会発表] The binding of plasminogen activator-1 and tissue plasminogen activator promotes less fibrosis and excessive fibrin deposition in nasal polyp tissue2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuji Takabayashi
    • 学会等名
      7th International symposium on recent advances in rhinosinusitis and nasal polyposis
    • 発表場所
      Shimane, Japan、くにびきメッセ
    • 年月日
      20131004-20131006
  • [学会発表] 線溶系制御異常による慢性副鼻腔炎の病態形成メカニズムに関する検討2013

    • 著者名/発表者名
      高林 哲司
    • 学会等名
      第52回日本鼻科学会学術講演会
    • 発表場所
      福井、フェニックスプラザ
    • 年月日
      20130926-20130928
    • 招待講演
  • [学会発表] Excessive fibrin deposition caused by a fibrinolytic disorder associated with reduction of tissue plasminogen activator expression in nasal polyps2013

    • 著者名/発表者名
      Tetsuji Takabayashi
    • 学会等名
      The 16th Asian Research Symposium in Rhinology
    • 発表場所
      Tokyo, Japan, KEIO PLAZA Hotel
    • 年月日
      20130829-20130831
  • [学会発表] 好酸球性副鼻腔炎の病態形成における肥満細胞の役割2013

    • 著者名/発表者名
      高林 哲司
    • 学会等名
      第25回 日本アレルギー学会春季臨床大会
    • 発表場所
      横浜、パシフィコ横浜
    • 年月日
      20130511-20130512
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi