研究課題/領域番号 |
25462663
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
清水 志乃 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (50505592)
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研究分担者 |
清水 猛史 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00206202)
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 早期診断 / ヒト鼻腔 / アミロイドβ / タウ蛋白 / 嗅粘膜 |
研究概要 |
認知症の一つであるアルツハイマー病の病因としてアミロイドカスケード仮説が受け入れられている。老化とともに大脳皮質にアミロイドβ(Aβ)沈着(老人斑)をきたし、Aβがリン酸化タウの神経細胞の胞体・突起内への蓄積(神経原線維変化など)を誘発して認知症を発症する。80歳でアルツハイマーを発症した患者では、50歳頃からAβの蓄積が、70歳頃からタウの蓄積(神経原線維変化)、同時に神経細胞脱落が生じる。そのため認知機能障害がなくともAβが沈着し始めた時期に早期介入することが重要になってくる。われわれはアルツハイマー病のモデルマウスであるAmyloid precursor protein (APP) transgenic mice (Tg2576 mice) において、加齢と共に脳だけでなく鼻腔粘膜にAβ沈着が認められることをすでに報告している。今回はヒト鼻腔粘膜でもAβの検出が可能か否かを検討した。 鼻内4カ所から鼻腔粘膜擦過標本を採取し、標本中のAβ42濃度を測定して採取部位による比較を行った。次に、若年対照群、高齢対照群、そしてアルツハイマー病患者の3群に分けて、標本中のAβ42濃度を比較した。認知症テストにはMMSEを用いた。 採取部位の比較では、アルツハイマー病患者は対照群と比較して、下鼻甲介粘膜および中鼻道粘膜から採取した標本のAβ42濃度が有意に高値であった。下鼻甲介粘膜におけるAβ群の比較では、Aβ42濃度は若年対照群に比較してアルツハイマー病患者が有意に高値であった。 鼻粘膜擦過標本からAβ42を検出することができた。鼻粘膜Aβ42濃度がアルツハイマー病の簡便な早期診断方法として使用できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、鼻腔擦過検体からAβが検出可能であることを確認できた。採取器具の開発も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
パラメーターによって検体の処理方法が異なるため、一度の検体採取で得られる情報が限られる。地道に検体を収集していく。 病理解剖症例から得られた組織の検討を開始する。
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