研究課題/領域番号 |
25462666
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
濱島 有喜 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30343403)
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研究分担者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00305525)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嗅覚障害 / 組織幹細胞 / 嗅粘膜 / 神経細胞 |
研究概要 |
●組織幹細胞の摘出とセルラインの樹立 妊娠20日のマウスを、ケタミン、ザイラジンにて麻酔後、腹部を切開し、胎児を摘出した。胎児の頭部を頸部より切離し、開頭して脳組織を摘出し、頭蓋底を明視下にした。嗅裂部分のみを残して、眼球や口腔などの部位を取り除き、アンピシリンを含有した生理食塩水にて洗浄した。その後、組織を分離させるため、0.25%トリプシンにて組織を37℃で15分間静置し、その後骨組織や、その他の粘膜を取り除くため、ナイロンメッシュにて濾過した。回収した細胞を、EGF, basicFGFを含む培養液で37℃にて培養した。翌日には、細胞塊を認め、組織幹細胞と考えられる浮遊細胞と、培養ディッシュに付着する、支持細胞と考えられる細胞を認めた。細胞塊を形成する浮遊細胞と、紡錘形の付着細胞をそれぞれ、継代培養し、浮遊細胞は球状なneuro-sphereを形成し、1年以上継代することが出来た。この浮遊細胞塊からRNAを抽出すると、RT-PCRにて、MUSASHI1、NESTINの発現を確認できた。これらの細胞を組織幹細胞と考え、以降の実験に使用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
●顔面神経麻痺モデルマウスへの組織幹細胞の投与 顔面神経麻痺に対する組織幹細胞の効果を確認するため、顔面神経麻痺モデルを作成した。愛媛大学にて確立された方法を利用した。マウスを麻酔後に、頬部を切開し、顔面神経を露出した。ペアンにて10分間クランプし、組織幹細胞を神経周囲に留置するグループと、培養液のみを留置するグループを作成した。いずれのグループでも、麻痺はクランプ後2週間程度でほぼ完治したが、組織幹細胞投与群では麻痺発症後、3日目から10日目で非投与群に比較し、優位に改善度が高かった。よって、組織幹細胞の有効性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
●嗅覚障害マウスへの組織幹細胞の投与 嗅覚障害マウスは、外鼻腔にチップを挿入し、鼻呼吸を不能にすることにより作成した。2週間鼻腔呼吸を阻害したのちに、組織幹細胞を嗅裂の粘膜に投与した。その後、酢酸をゲージ内に留置し、その忌避行動を観察することで、嗅覚の改善度を推測した。結果は現在解析中である。 顔面神経麻痺への幹細胞の投与は、治療効果を早めることが明らかになり、7割程度の達成度はあるものと評価している。嗅覚障害への治療効果はまだ検討中のところもあり、セルラインの確立までの成果として、5割程度と考える 今後は、顔面神経麻痺の治療について、組織幹細胞を臨床効用を目指していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画が遅れている為 平成25年度に引き続き、外鼻腔にチップを挿入し、鼻呼吸を不能にすることにより嗅覚障害マウスを作成する。組織幹細胞を嗅裂の粘膜に投与した、その後、酢酸をゲージ内に留置し、その忌避行動を観察していく。 また今後は嗅覚障害への理療効果の検討の為、顔面神経麻痺へ幹細胞の投与を行っていく予定である。
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