研究課題/領域番号 |
25462668
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
松脇 由典 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60287290)
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研究分担者 |
大櫛 哲史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50317939)
宇野 匡祐 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (90629544)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ILC2 / Innate immunity / 自然免疫 / 好酸球性鼻副鼻腔炎 / ECRS / IL-33 |
研究概要 |
鼻茸中に含まれる大量のIL-5(好酸球の生存延長、活性化に重要なサイトカイン)IL-13(ムチン産生)の源は以前不明である。これまでの我々の検討からは、鼻茸中のIL-5はng/mlレンジ、実験的にPBMCが産生するIL-5はpg/mlレンジであり、1kオーダーでその濃度が異なる。IL-5, IL-13はその病態形成に大きく関与しているが、その大量産生細胞は未だ不明である。近年マウス腸管の脂肪組織からTh2サイトカイン(IL-5,IL-13)を大量に産生するId2-dependent non-T, non-B細胞集団が発見されnatural helper lymphocytes と命名された(Nature. 2010;463:540-4.)。ヒトにおいてもIL-25, IL-33の刺激により大量のIL-5, IL-13を産生するtype 2 innate lymphoid cells(Lineage negative, CD127+CD161+CRTH2+)が発見され、末梢血、腸管、気道に存在していることが報告された(Nat Immunol. 2011;12(11):1055-62)。既知のT細胞でもB細胞でもないtype 2 ILCが好酸球性鼻副鼻腔炎やアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎においてTh2サイトカイン(IL-5, IL-13)産生のメインソースである可能性が疑われるが、鼻副鼻腔疾患におけるtype 2 ILCの役割は依然不明であり、報告も全くない。そこで我々は次の仮説を提唱したい。仮説「好酸球性鼻副鼻腔炎、アレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎においてtype 2 innate lymphoid cells(ILC2)が自然免疫で好酸球炎症、鼻茸形成、ムチン産生を誘導する。」この仮説を明らかにすべく本研究を遂行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
I.Type 2 innate lymphoid cells(ILC2)の鼻ポリープ、副鼻腔粘膜内の発現と分布を蛍光免疫染色にて病態別に比較検討する.手術で採取した鼻ポリープ(好酸球性鼻副鼻腔炎、非好酸球性鼻副鼻腔炎)、正常副鼻腔粘膜(鼻副鼻腔正常な下垂体腺腫症例)にてILC2(CD127+CD161+CRTH2+)の蛍光3重免疫染色を行い、各疾患郡別にILC2の分布および細胞数をカウントした。好酸球性鼻副鼻腔炎においてILC2の高発現を認めた。 II.末梢血、鼻ポリープ内のType 2 innate lymphoid cells(ILC2)のカウントおよび表面発現レセプター、活性化の検討。末梢血よりPBMCを分離し、ILC2(Lineage-,CD45+, CD127+, CRTH2+)をFACSにてカウントした。同一被験者より鼻ポリープを採取し、Gentle MACSにてsingle cellに分離し、総細胞中のILC2(Lineage-,CD45+, CD127+, CRTH2+)をカウントした。またこれらILC2のCD44, CD25, IL-17RB, ST2についての表面発現を検討している。 III.末梢血、鼻ポリープ内のType 2 innate lymphoid cells(ILC2)のTh2サイトカイン産生能の検討.鼻ポリープを採取し、Gentle MACSにてsingle cellに分離し、MACSにてLineage negative cellsをnegatine sellection法にて採取。その中のILC2数は上記FACSにて計測している。そこに各種サイトカインIL-2, IL-4, TSLP, IL-33等にて刺激し、上清中のIL-5, IL-13量をELISAにて計測している。 I, II, IIIを正常者、好酸球性鼻副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎群を対象に施行し、各群10例~20例を目標に検討を重ねている最中である。今までの成果は、学会発表あるいは論文報告とも未だ行っていない。統計処理が行える数がそろって上で、論文報告、学会発表を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
I.Type 2 innate lymphoid cells(ILC2)の鼻ポリープ、副鼻腔粘膜内の発現と分布を蛍光免疫染色にて病態別に比較検討する.手術で採取した鼻ポリープ(好酸球性鼻副鼻腔炎、非好酸球性鼻副鼻腔炎)、正常副鼻腔粘膜(鼻副鼻腔正常な下垂体腺腫症例)にてILC2(CD127+CD161+CRTH2+)の蛍光3重免疫染色を行い、各疾患郡別にILC2の分布および細胞数をカウントする。さらに検討数を増やす。 II.末梢血、鼻ポリープ内のType 2 innate lymphoid cells(ILC2)のカウントおよび表面発現レセプター、活性化の検討。末梢血よりPBMCを分離し、ILC2(Lineage-,CD45+, CD127+, CRTH2+)をFACSにてカウントした。同一被験者より鼻ポリープを採取し、Gentle MACSにてsingle cellに分離し、総細胞中のILC2(Lineage-,CD45+, CD127+, CRTH2+)をカウントした。またこれらILC2のCD44, CD25, IL-17RB, ST2についての表面発現を検討する。さらに検討数を増やし、統計学検討を加えたい。 III.末梢血、鼻ポリープ内のType 2 innate lymphoid cells(ILC2)のTh2サイトカイン産生能の検討.鼻ポリープを採取し、Gentle MACSにてsingle cellに分離し、MACSにてLineage negative cellsをnegatine sellection法にて採取。その中のILC2数は上記FACSにて計測している。そこに各種サイトカインIL-2, IL-4, TSLP, IL-33等にて刺激し、上清中のIL-5, IL-13量をELISAにて計測する。 I, II, IIIを正常者、好酸球性鼻副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎群を対象に施行し、各群10例~20例を目標に検討を重ねている最中である。統計処理が行える数がそろって上で、論文報告、学会発表を行いたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
学内の共同施設を使用することにより、当初予定していた物品購入費が抑えられた。 可能な限り、実験の消耗品(抗体、試薬等)に使用したい。
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