研究課題/領域番号 |
25462670
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
志賀 英明 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (80436823)
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研究分担者 |
三輪 高喜 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20229909)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 嗅覚障害 / 嗅覚刺激法 / リハビリテーション / 画像解析 / オルファクトシンチグラフィ / 嗅神経トレーサー |
研究実績の概要 |
中等症以上の嗅覚障害患者に対して、二つの刺激法(A法:鼻腔からの刺激;B法:口腔からの刺激)の無作為比較試験を施行した。1日3回の食事の度にA法では食事を鼻腔に近づけて良くにおいを嗅いでから口に入れ、B法では食物を口に入れて少なくとも10回以上咀嚼し食物の香りを良く味わいながら食事するよう指導した。リハビリ開始時にトウモロコシスナックを用いて上記の刺激法の訓練を行なった。被験者には1ヶ月に1回程度来院してもらい指導を繰り返した。平成27年度までに両群合わせて42例を対象に試験を施行した。嗅覚検査はリハビリ開始後3ヶ月後、6ヶ月後に施行しその後の試験継続は希望者のみに行なった。これまで特に有害事象は認めなかった。リハビリの自己記録日誌で自己訓練の実施状況を確認した。リハビリ開始後の嗅覚機能はT&T平均認知域値においては目立った変化は認めなかったが、カード式嗅覚同定能力検査(オープンエッセンス)の正解数は増加傾向を認めた。その他、嗅神経の障害程度を画像評価する目的でタリウム-201経鼻投与とSPECT-CT、MRIを用いたオルファクトシンチグラフィを施行した。またMRIで嗅球体積を推定した。薬物治療の前後でオルファクトシンチを施行した症例では、嗅神経の改善を認めても嗅球体積の増加が乏しい傾向を認めた。マウスを用いた動物実験では新規嗅神経トレーサーとしてインスリンに注目し、蛍光標識したインスリンをマウスに経鼻投与したところ、投与30分後ですみやかに嗅球を含めた脳内にインスリンが移行することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
嗅覚障害リハビリテーションの無作為試験は順調に推移しているほか、嗅神経イメージングの開発も概ね予定通りに経過している。マウスの嗅覚行動記録装置を用いた嗅覚行動試験の実験は条件設定を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
嗅覚障害リハビリテーションの無作為試験を従来通り進め今年度内に統計解析をすすめる予定である。具体的にはA群とB群との間に治療効果や自己訓練の実施状況に有意差を認めるか明らかとする。また動物実験ではにおい刺激で嗅神経再生の促進を促す実験を開始し、嗅神経トレーサーと嗅覚行動試験でにおい刺激による嗅神経再生効果を評価する予定である。
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