唾液腺癌組織における発現タンパク質を解析したところ、EGFRは76%、HER2は20%、c-KITは38%で陽性であり、中でもHER2陽性例が有意に予後不良であった。さらに、HER2陽性例ではその下流シグナルであるPI3K経路の活性化を認めた。また、HER2は唾液腺導管癌に多く発現していたが、de novoに比べ多形腺腫由来癌で多く認めており、多形腺腫からの発癌に強く関与している可能性が示唆された。 これらの結果から、HER2を標的とした薬物治療の開発を検討した。既に乳癌や胃癌で臨床応用されている抗HER2抗体トラスツズマブとドセタキセル併用薬物治療による第2相臨床試験を現在進行中である。
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