研究課題
鼻副鼻腔乳頭腫と扁平上皮癌(SCC)合併例におけるヒトパピローマウイルス(HPV)の関与を検討した。SCCおよび内反性乳頭腫単独症例を比較対象としてパラフィン検体を用いてp16免疫染色、in situ hybridization(ISH)、PCRによるHPV検索などによる検討を重ねた結果、高リスク型HPVであるタイプ16が鼻副鼻腔癌発生に関与する可能性が示唆された。その一方でHPV関連鼻副鼻腔癌のバイオマーカーとしてのp16の役割や、HPV関連癌の放射線化学療法に対する感受性などの臨床的特徴においては、強く関連が証明されている中咽頭癌程の相関が見られなかった。鼻副鼻腔癌症例におけるp16やHPV関連癌の臨床的意義解釈には更なる検討が必要と考えられた。中咽頭癌のパラフィン検体から抽出したマイクロRNAでマイクロアレイを行い、HPV感染有無別等にマイクロRNAプロファイリングを施行した。in vitroで候補マイクロRNAの強制発現並びにRNAiを用いた増殖能や表現形の評価実験を行ったが、有意な機能や形態変化を来しうるマイクロRNAの特定までには至らなかった。また、近年、悪性黒色腫や肺癌等で次々に臨床応用され、各種固形癌における役割解明の需要が急激に高まりつつある時代背景を受けて、免疫チェックポイント分子にも注目し、HPV関連中咽頭癌および非関連癌との間で発現パターンや発現率の差を検討した。その結果、本邦の検体においては欧米からの報告とは異なった傾向が確認され、今後、地域や人種差を考慮した臨床適用判断が必要となる可能性が示唆された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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