研究課題
IgG4関連硬化性疾患は、全身の諸臓器にCD4ないしCD8陽性Tリンパ球とIgG4陽性形質細胞が浸潤する全身性疾患である。そのIgG4陽性形質細胞の浸潤は,膵臓、胆管、唾液腺、甲状腺、後腹膜などに認められることが多い。キュットナー腫瘍などの硬化性唾液腺炎、自己免疫性膵炎、原発性硬化性胆管炎、後腹膜線維症と独立して診断されてきた疾患は、この新しい疾患概念であるIgG4関連硬化性疾患の一つの表現型である可能性が示唆されている。診断は唾液腺、涙線などの両側対称性の腫脹と血清中のIgG4の上昇あるいは組織中のIgG4陽性形質細胞の確認によってなされている。耳下腺、顎下腺など唾液腺の腫脹を初発症状とすることが多いが、膵臓や胆管に病変が進展し自己免疫性膵炎や硬化性胆管炎などの重篤な合併症をおこす可能性があり、早期に診断し治療を開始することが重要である。病理学的には腺組織の高度な破壊像、IgG4陽性形質細胞浸潤と激しい繊維化が認められている。臨床的には①確実で簡便かつ低侵襲で整容性の高い診断方法の開発、②マネージメントする上で疾患の活動性の指標や致死的な全身合併症の発生を予測できるバイオマーカーの開発、③安全で確実な治療法の開発が重要なテーマである。本研究では、唾液腺局所のEBウイルスのDNAコピー数が多い症例では、唾液腺外の病変を有することが多くかつ病変が広範囲であることが確認された。また、血清中のぺリオスチンが高い症例では多発病変であることが多く、マネージメントの上でのバイオマーカーとなる可能性が示唆された。さらに、ステロイドが有効であることが報告されているがより副作用の少ない治療方法の確立が今後の課題であると考えられた。
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