研究課題
下咽頭癌臨床検体を用いたマイクロアレイ解析から、癌抑制型microRNAプロファイルを作成した。下咽頭癌で発現低下しているmiR-504は癌抑制機能をもつのではないか、と推測されたが、これまでに、miR-504は癌抑制遺伝子P53を制御する癌遺伝子型microRNAと報告されている。miR-504 を癌細胞株(FaDu、SAS、HSC3、HCT116 colon carcinoma cells (p53+/+ and p53-/-))に核酸導入することで、細胞増殖・細胞周期を抑制することを確認した。miR-504は癌抑制機能をもつことを見出した。また、ゲノム科学的な手法と in silico 解析を用い、miR-504 が標的とする癌遺伝子として、細胞周期に関与するCDK6を同定した。細胞株において、miR-504がCDK6の発現を抑制することを確認した。さらに下咽頭癌臨床検体においてmiR-504の発現低下、CDK6の発現上昇、両者の発現の逆相関を確認した。下咽頭癌において、miR-504の発現低下により標的遺伝子CDK6が過剰発現する、分子機構の一端が明らかになった。microRNAプロファイルから癌抑制型 microRNAを見出すことで、また新たな下咽頭癌分子ネットワークを解明することが可能であった。癌抑制型microRNA を基点とした解析により、癌細胞の増殖や転移に関わる複雑な分子ネットワークの一端が明らかとなり、microRNA/mRNA新規ネットワークの描出により今後の治療戦略のヒントが得られると確信した。
すべて 2016
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J Hum Genet.
巻: 61 ページ: 109-118
10.1038/jhg.2015.120