いくつかの癌腫において血中循環腫瘍細胞が治療効果予測因子、予後予測因子となることが知られている。しかし、頭頸部扁平上皮癌においては血中循環腫瘍細胞の臨床的意義はいまだ明らかとなっていない。また、従来の血中循環腫瘍細胞の研究は上皮系の細胞表面マーカーを発現する腫瘍細胞を検出している。しかし、上皮系マーカーを発現しない癌細胞のほうがより直接的に浸潤、転移とかかわっていることが今日では明らかとなっている。そのため、本研究では頭頸部扁平上皮癌における血中循環腫瘍細胞の臨床的意義を明らかにするため、上皮間葉転換を起こした腫瘍細胞、癌幹細胞を含めた血中循環腫瘍細胞の検出を試みた。 頭頸部扁平上皮癌においては癌幹細胞のマーカーとしてCD44が知られているがこれを発現する腫瘍細胞を血中から検出することはできなかった。今後、新たに同定された別のマーカーを用いて実験を継続する予定である。
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