研究実績の概要 |
HPV16陽性頭頸部癌細胞株にin vitroでHPV癌遺伝子E6、E7に対するsiRNAを導入することによりpRbおよびp53の発現が回復し、結果として細胞増殖が抑制され、アポトーシスが誘導されること、in vivo実験においてもE6、E7に対するsiRNAの腫瘍内投与により腫瘍増殖が有意に抑制され、E6とE7の両者を抑制するとその効果はさらに増強されることを既に報告している。 Adhim Z, Otsuki N, Kitamoto J, Morishita N, Kawabata M, Shirakawa T, Nibu K. Gene silencing with siRNA targeting E6/E7 as a therapeutic intervention against head and neck cancer-containing HPV16 cell lines. Acta Otolaryngol. 2013;133(7):761-71
今回は、E6とE7遺伝子の抑制をより効率的に行なうためにE6とE7遺伝子に対するアンチセンスRNAを組み込んだアデノウイルスベクターを作成し、その細胞殺傷効果を確認した。また、in vivo実験においては、シスプラチンの腹腔内投与に加えこのウイルスベクターの局所投与を併用することにより、シスプラチン単独投与に比べ腫瘍の増殖が抑制されることがしめされた。 少量のシスプラチン投与により、アンチセンスRNAを組み込んだアデノウイルスベクターの局所投与の効果が増強され、臨床応用の可能性が示唆された。現在、論文投稿準備中である。
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