頭頸部癌の発癌要因として喫煙・アルコールの関与が知られているが、近年ヒト乳頭腫ウイルス(以下HPV)の関与が指摘されている。HPV癌遺伝子であるE6とE7遺伝子の抑制を効率的に行なうためにE6とE7遺伝子に対するアンチセンスRNAを組み込んだアデノウイルスベクターを作成し、HPV陽性の頭頸部癌細胞株に導入することで、その細胞殺傷効果が確認された。また、腫瘍移植マウスを用いた実験においては、シスプラチンの腹腔内投与に加えこのウイルスベクターの局所投与を併用することにより、シスプラチン単独投与に比べ腫瘍の増殖が抑制され相乗効果が認められることが確認された。
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