前年度に引き続きフェレットを用いた瘢痕声帯モデルについて、組織学的な検討を行った。前年度までの研究で、フェレットの瘢痕声帯ではコラーゲン1、コラーゲン3、フィブロネクチンが増加していることが分かったが、統計学的に有意なデータを得るため、さらにサンプルの数を増やして研究を行った。サンプル数を増やしても同様の結果で、コラーゲン1、コラーゲン3、フィブロネクチンのいずれのタンパクも処置側で有意に非処置側と比較して発現が増加していた。特にコラーゲン1では他のタンパクと比較して、非処置側と処置側との数値の差が大きく、今後、瘢痕声帯に対するsi-RNA導入実験をおこなった際によい指標になると考えられた。 si-RNAの導入実験を行うに向けて、現在準備を進めているが、フェレットはあまりノックダウンを行う研究に用いられる動物種ではなく、siRNAの設計に時間がかかっており、実際にsiRNAの導入には至っていない。しかし、フェレットの声帯は長鼻鏡を用いることで容易に直視下に声帯膜様部が観察でき、遺伝子導入操作も容易であることが予想される。今後、さらにこの研究を進めていきたい。
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