研究実績の概要 |
本研究は頭頸部癌の最大の予後因子である転移リンパ節の制御にセンチネルリンパ節理論に基づきリンパ管を利用した“リンパ管化学療法“を頭頸部癌で確立し、低侵襲療法の実用化である。重要な点は原発巣と転移リンパ節がリンパ管で結合し、このリンパ管の可視化に従来の放射線被曝のない近赤外蛍光イメージングを開発した。(文献番号は別紙参照)。 原発巣の制御に抗癌剤を動注し、リンパ管経由のリンパ節の制御をFDG-PETと他のPETで検討した10,17)。巨大転移リンパ節の制御には頸動脈を含めて切除再建が必要で、合併症の少ない新しい方法を開発した13,16)。耳下腺癌等の頭蓋底浸潤例に対して原発巣制御とリンパ管を考慮した低侵襲な転移リンパ節の制御を検討した2,3,4,8,18)。 最近増加するHPV関連中咽頭癌の診断法と転移が多くても予後良好の原因を従来のたばこ関連中咽頭癌と比較検討した15)。頭蓋底リンパ節転移例は予後不良で術後合併症が問題となるが、蛍光イメージングをガイドに転移リンパ節を確認し、口腔内より切除する低侵襲法を開発した14,19)。放射線治療後の嚥下障害をリンパ管の観点よりリハビリに活用し嚥下障害を回避した9). 上顎洞癌治療時にCT-anngiographyと蛍光イメージングの併用が転移リンパ節の制御にも有用と報告した12)。従来の侵襲を伴う長時間の再建手術を回避し、リンパ管を考慮した低侵襲再建法と転移リンパ節の効率的制御法について報告した1,4,5,6,7,11)。 基礎研究では転移リンパ節に効率に移行し治療効果の高い最適なTargeting Chemotherapyの薬剤としてリンパ節指向性が高いミセル化PTX,ADM,CDDPを使用し、抗癌剤の移動を 蛍光法で可視化する新たな研究を好転移性のVX2扁平上皮癌 を NZWに移植し、頭頸部癌の転移モデルを作成し計画書に従い実施中である。
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