研究実績の概要 |
Cetuximabの比較的感受性があることが過去の報告で分かっているHN5(頭頸部扁平上皮癌細胞)を入手し前年度と同様に解析を行った。また、特にcetuximabに感受性良好なHN5に照準をしぼり炭素線との併用でのDNA repairやapoptosis誘導の評価を行った。 研究成果と解析結果 Clonogenic survival assayを用いて、γ線および炭素線に対するcetuximabの放射線増感作用を評価した。この結果ではHN5は他のFaDu,T871, Detroit562に比べ比較的γ線および炭素線ともに増感作用を認めた。 この効果の差が細胞本来のEGFRの発現状況と関係があるかをwestern blotで確認したところHN5では高度にEGFRが発現していることが分かった。この差がcetuximabの直接的な感受性の差になっているかは不明であるが、可能性としては考えることができるだろう。以降の実験においてはcetuxima感受性株のHN5を用いて実験を行った。γH2A-X fociによって炭素線によるDNAダメージとcetuximabのDNA repairに対する働きを検討した。その結果ではcetuximabによって放射線増感作用を示したHN5では炭素線によって誘導されたDNA損傷からの回復がcetuximabによって遅延していることが分かった。TUNNEL assayにて炭素線によるapoptosisの誘導とcetuximabによるそれらの増強作用を検討した。その結果ではやはりsurvival assay, γH2A-X fociの結果と同様にFaDuよりもHN5においてよりcetuximabによるapoptosisの誘導の増強作用が認められた。
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