研究課題/領域番号 |
25462696
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 准教授 (20299514)
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研究分担者 |
深堀 光緒子 久留米大学, 医学部, 助教 (50529310)
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 教授 (70196228)
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 教授 (40203583)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 瘢痕声帯 / 声帯溝症 / 再生 / 口腔粘膜 / 移植 / 声帯粘膜上皮 / 声帯粘膜固有層 / 発声機能 |
研究実績の概要 |
背景)瘢痕声帯や声帯溝症は不可逆的な音声障害をきたす。発声機能を回復するためには、正常な声帯層構造と各層の物性の再生が必要になる。当教室の再生医療研究チームの目標の一つは、患者自身の口腔粘膜により声帯組織を再生することであり、動物実験を経て臨床応用を目指している。目的)口腔粘膜から積層培養組織(声帯粘膜モデル)を作製し、自家移植による声帯層構造と物性の再生を試みる。方法)<声帯粘膜モデルの作製>イヌ口腔粘膜を3x3mm2採取し粘膜上皮細胞と線維芽細胞をそれぞれ分離・培養した。Cell Culture Insert(BD)を用い、下層に配向性コラーゲンシート、中間層に線維芽細胞を含むアテロコラーゲン溶液、上層に粘膜上皮細胞を播種して共培養を行なった。<声帯粘膜モデルの自家移植> まず喉頭截開を行い声帯膜様部全長を切除した。切除部に声帯粘膜モデルをフィブリン糊で固定し吸収糸で縫合した。8週間後に喉頭を摘出して吹鳴実験および組織学的検討を行った。結果)in vitroで作製した声帯粘膜モデルは、組織学的に正常声帯粘膜に類似した形態であった。移植後の摘出喉頭の吹鳴実験では、再生声帯粘膜に規則的な粘膜波動を認めた。摘出喉頭の免疫組織化学的検討で、再生声帯粘膜は粘膜上皮と線維芽細胞を含む粘膜固有層で構成された組織であった。また、再生声帯粘膜上皮は切除端との境界のない連続した薄い重層扁平上皮であり、再生粘膜固有層では弾性線維密度が減少していた。考察)口腔粘膜の小片から作製した声帯粘膜モデルは、良好な組織親和性によって声帯層構造を再生できる。また、移植後の再生声帯粘膜には規則的な声帯振動を得るための物性がある。しかし、より良好な発声機能に必要な声帯粘弾性を考慮した場合、再生粘膜固有層の線維密度やヒアルロン酸量などの細胞外マトリクスの調整に課題が残されている。
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