研究課題/領域番号 |
25462699
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
冨藤 雅之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (80327626)
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研究分担者 |
荒木 幸仁 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (70317220)
塩谷 彰浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 教授 (80215946)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 喉頭狭窄 / 気管狭窄 / 遺伝子治療 / センダイウイルスベクター |
研究概要 |
喉頭気管狭窄は複数回の手術を要し、内科的な治療も確立されていない難治性の疾患である。喉頭気管狭窄に対する新規の治療法を確立するためにまずラットにおける安定した喉頭気管狭窄モデルを作成した。センダイウイルスベクター(SeV)は核内に取り込まれずに自然に排出され、宿主の遺伝子に影響を与えない安全なウイルスベクターであり、上気道における創傷治癒を修飾するために有用性が期待される。Fusion 遺伝子を欠失させたGFP-SeV/ΔFを投与し、正常喉頭気管粘膜における発現を評価した。次に粘膜擦過による喉頭気管狭窄モデルに対してSeVを注射ないし局所スプレー塗布を行い導入遺伝子発現を評価した。正常喉頭気管粘膜におけるGFP遺伝子の発現を評価すると投与方法としては局所塗布が有用であった。次にLacZ遺伝子を搭載したSeV遺伝子導入を行ったところ(LacZ-SeV/ΔF)、導入遺伝子の発現は3日でピークを迎えその後14日まで減弱していった。X-gal染色を行いLacZ遺伝子産物であるβガラクトシダーゼ発現領域を調べたところ、投与後3日5.22%、7日2.44%、14日1.45%であった。 喉頭気管に関して大きな副作用は認められなかった。喉頭気管狭窄のモデルとしてはブラッシングにより平均60%の狭窄を安定して作成可能であることが示された。気管、輪状軟骨、声帯レベルにおける損傷粘膜に対してのSeVによる遺伝子導入効率は3.35 - 3.66%であり、正常粘膜と同等の遺伝子導入効率であった。粘膜、粘膜下層の組織に遺伝子導入を行うことが可能であった。損傷粘膜に対する遺伝子導入の効果が示され、今後の治療遺伝子導入効果の比較検討を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上気道に対するセンダイウイルスベクターの効果的な導入を示せたことより、今後は治療因子を搭載したベクターによる治療効果検討へと進める。その際に必要な動物モデルについても安定したモデルを確立した。治療遺伝子についてはすでに瘢痕形成抑制へ効果の期待できる有力な因子を見出しており、その遺伝子を搭載したセンダイウイルスベクターもすでに作成済みである。今後は喉頭気管狭窄への治療効果についての検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究に従事できる時間が十分でないため、研究助手を雇用し研究をさらに推進させる。また必要な動物やベクター、試薬等の購入、研究成果の発表などに用いる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品の一部は研究機関における在庫があったため次年度に繰り越しとさせていただきました。 データ画像の解析用ソフト、コンピュータなどに使用する予定である
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