研究課題
硝子体腔に存在する細胞は"hyalocytes"と呼ばれ、糖尿病網膜症を含めた網膜硝子体疾患への関与が考えられている。これまでの研究では我々が作成したブタ硝子体組織由来細胞、ヒト硝子体組織由来細胞において炎症性サイトカインによりヒアルロナン(ヒアルロン酸)の産生調節が認められ、硝子体細胞がヒアルロナン産生を介して細胞の分化・遊走・増殖を制御し、糖尿病網膜症の主な病態である血管新生へ関与している可能性が考えられる。硝子体細胞と血管内皮細胞を用いた共培養系では、IL-6 や VEGF をはじめとする種々の炎症性サイトカインによる血管内皮細胞の細胞増殖が硝子体細胞の共培養で影響されており、硝子体細胞が血管内皮細胞の機能制御に関与していることも考えられた。硝子体手術から得られる少量の硝子体検体の病理学的検査により、増殖糖尿病網膜症の硝子体腔内には樹状細胞が存在してた。樹状細胞は免疫応答を担う細胞であり、病態への関与の可能性が考えらた。樹状細胞と硝子体細胞の共培養系や、グリア細胞と硝子体細胞の共培養系でも硝子体細胞が樹状細胞やグリア細胞に影響を与えていることが観察された。このように硝子体腔内では種々の細胞とヒアルロナンなど細胞外基質が共存する複雑制御系が細胞間同士を通じて病態形成に関与する可能性が考えられた。
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