研究課題
平成25年度は、これまでに我々が限局化に取り組み、命名した、5番染色体テロメア付近の3.9 Mb領域にある網膜光障害感受性責任遺伝子領域-1(Retinal Photic Injury susceptibility-1; Rpi1)について、更なる限局化について検討した。25年度に生まれた戻し交配(BC)個体に対して、マイクロサテライト多型によるゲノタイピングを実施したところ、8匹においてRpi1領域内でのLEW由来とWKY由来の染色体部分での組換えを検出した。これらの内の2匹について眼病理標本を作製し、検鏡した結果とゲノム解析結果とを比較・検討することで、2.3 Mb領域に限局化できた。この領域には、少なくとも69遺伝子の存在(RGSC3.4)が予測され、また、前年度のハプロタイプ解析の結果より命名したRpi1領域の一部であるRpi1a領域(0.64 Mb)が解析対象から外れることを示していた。Rpi1領域は遺伝子密度が非常に高く、また、原因変異がエキソン以外の領域の可能性もあり、責任遺伝子を着実に追求する上でも、BC個体レベルでのRpi1領域の限局化は重要であり、24遺伝子を候補から除外できたことが当該年度において大きな意味を持つ。次世代DNAシーケンス解析に関しては、領域限定エキソーム解析のための独自のベイト設計およびビオチン化cRNAベイトライブラリーの作製は終えている。戻し交配は、現在、2つのライン由来の第8から第12世代までのBC個体を継続して飼育・管理している。加齢黄斑変性の患者および対照者の血液検体の収集については、以前より実施しており、今年度も合計71人分の血液検体を収集した。
3: やや遅れている
次世代シーケンス解析の実施は、戻し交配ラットの表現型およびゲノム型の比較解析に時間がとられ、また、次世代シーケンサー解析の準備が遅れたために、2年目にずれ込むことになった。領域限定エキソーム解析用のベイトライブラリーの作製は終わっているので、2年目の前半に解析を実施する予定である。
2年目に次世代シーケンス法による領域限定エキソーム解析に着手する。これにより、エキソン内において、アミノ酸置換を伴う遺伝子変異をリストアップし、遺伝子導入実験に進める。AMD症例の血液検体の収集は、従来通り継続して進めていく。
予定していた次世代シーケンス解析が次年度に遅れたため、次年度使用のために繰り越した。次世代シーケンス解析用の試薬・キット類および使用料として支出する予定である。
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Cell Biology International
巻: 38 ページ: 16-25
10.1002/cbin.10174