研究課題
近年、光干渉断層計(以下 OCT)が大きく進歩することにより網膜、硝子体、さらには脈絡膜の疾患の解明が進みつつある。しかし、OCT の解像度は縦方向に向上しても横方向の解像度の改善は原理的に難しく、さらなる進歩には大きな壁があった。本研究では、縦方向に高い解像度を持つOCT と、横方向に高い解像度をもつ超高解像度補償光学眼底撮影装置を組み合わせて用いることにより、眼底の微細な所見・変化を3 次元的に解析し、また、網膜機能解析検査である黄斑部局所網膜電図も併用し、超微細な形態的および機能的な面からさまざまな網脈絡膜疾患の病態を詳細に調べた。方法論の検討では、正常眼の錐体細胞密度は中心窩に近づくほど高くなり、中心1.5度以内では解像度限界から測定不能になるが2度近辺では補正を加えることで再現性のある測定ができることが判明した。黄斑部局所網膜電図の解析では、a波b波OP波の各振幅は錐体細胞密度と相関していることが示され、網膜電図の振幅の起源が錐体細胞と関係していることが判明した。血管の観察では、offset modeを使うことで網膜血管壁が描出されるが、血管に垂直方向にconfocal apertureをshiftすることで最も血管壁のコントラストが高くなることがわかった。また、offset modeを使うことで増殖糖尿病網膜症の新生血管が描出されるが、治療後のこれらの新生血管の消退も観察可能であることも示された。網膜剥離眼では、網膜剥離術後に錐体細胞密度が回復していくが、術後12か月においても僚眼の錐体細胞密度にまでは回復しないことが判明した。Occult Macular Dystrophyでは錐体細胞密度が正常と比べてかなり低下していることも判明した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件)
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