研究課題/領域番号 |
25462712
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
村木 早苗 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90335175)
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研究分担者 |
上山 久雄 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (30127013)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 杆体一色覚 / cGMP依存性カチオンチャネル / CNGA3 |
研究概要 |
杆体一色覚は、全色盲や低視力を呈する遺伝性の病態である。その原因として、網膜の錐体で働くcGMP依存性カチオンチャネルα鎖の遺伝子(CNGA3)の異常がある。チャネル機能が検出されないCNGA3のミスセンス変異について、その原因を明らかにすることが本研究の目的である。チャネル機能が検出できた19種の変異については、パッチクランプ法を用いて、cGMPに対する感受性が上がる変異と下がる変異があることがわかった。チャネル機能が検出されなかった変異cDNA49種については、それぞれハロタグベクターに繋ぎ、HEK293細胞にトランスフェクトした後、TMRリガンドで変異CNGA3タンパク質を標識した。細胞膜タンパク質をビオチンで標識したあと細胞を溶解し、SDS-PAGEにより発現タンパク質を解析した。変異型はいずれも野生型よりも発現レベルが低く、細胞膜での発現レベルと相関していた。低温培養(28℃)によって、変異に関係なく、細胞膜でのCNGA3タンパクの発現は増強した。野生型CNGB3との共発現は、細胞膜でのCNGA3タンパクの発現には影響しなかった。今回、TMR標識とビオチン標識によりCNGA3タンパク質の細胞膜での発現を検討することができた。変異型では細胞膜での発現が野生型と比較して低かったが、培養温度を下げると細胞膜での発現がいずれの変異においても増加することがわかった。低温培養した細胞を用いた解析によりチャネル機能が検出されない原因を明らかにすることができると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の目標であるチャネル機能(+)の変異α鎖チャネルの解析、チャネル機能(-)の変異α鎖チャネルの機能レスキュー法の検討、野生型α鎖の細胞膜での発現の検討についておおむね行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)機能レスキューされた変異α鎖チャネルの解析 前年度に判明した、機能レスキューされる変異α鎖チャネルについて、パッチクランプ法でその性質を明らかにする。cGMP やcAMP に対する感受性、K+やNa+、Ca2+などのカチオンの透過性、β鎖とのヘテロ四量体の性質などを検討する。 (2)変異α鎖の細胞膜での発現の検討 今年度の検討により、野生型α鎖(E198)のままでビオチン化ができたのでK198での検討は不必要となった。 野生型β鎖の共発現で機能レスキューできなかった変異に関しては、野生型β鎖との会合の有無を、β鎖のC 末につけたFLAG タグを用いた免疫沈降と、α鎖のC 末につけたMyc タグを用いた検出の組み合わせで検討する。 (3)キメラcDNA と、タンデムcDNA の作成 α鎖とβ鎖は基本的に同じ構造(N 細胞質領域-膜貫通領域1(S1)-ループ1-膜貫通領域2(S2)-ループ2-膜貫通領域3(S3)-ループ3-膜貫通領域4(S4)-ループ4-膜貫通領域5(S5)-ポア領域-膜貫通領域6(S6)-C-リンカー-サイクリックヌクレオチド結合領域-C 細胞質領域)であるのでキメラを作成するのは容易である。 一方、タンデムcDNA の方は、すでにあるα鎖cDNA クローンのKpnI サイト(開始コドンの直上流)にα鎖やβ鎖のcDNA を挿入する、あるいは、β鎖cDNA クローンを作製し、そのKpnI サイト(開始コドンの直上流)にα鎖のcDNA を挿入するという形で作製する。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費、謝金がなかったため。 薬品、試薬などの物品費に使用する予定である。
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