研究課題
まず、ミスセンス変異68種それぞれを持ったα鎖を恒常的に発現する細胞を樹立した。この細胞で、カルシウムセンサー(Fluo 4)を用いた機能解析を行った。cGMPによって活性化されるチャネルが機能しておれば、細胞内に流入したCaイオンがFluo 4と結合して蛍光が検出されるはずであり、チャネル機能がない、あるいはチャネルの細胞膜での発現がない場合には蛍光は検出されない。蛍光が検出されなかった変異チャネルは、培養温度を28℃に下げ、蛍光が検出されるかどうかを検討した。その結果、蛍光(+)は19種、蛍光(-)で28℃培養で蛍光(+)が7種であった。次に、これらチャネル機能が検出された細胞を用いて、cGMPに対する感受性を検討した。その結果、感受性が低下していたもの4種、感受性が亢進していたものが3種認められた。感受性が低下していたものでは、in vivoの錐体において、cGMP濃度が上昇してもチャネルが開いていない可能性があり、感受性が亢進していたものでは、cGMP濃度が低下してもチャネルが閉じない可能性があり、いずれの場合も、充分な錐体機能が発揮できないものと考えられた。1種は、細胞内トラフィッキングの障害に加えてチャネル機能の障害もあることが示唆された。またチャネル機能レスキュー法を低温培養以外に模索したが、効果的なものはなかった。本研究の遂行中に新しく15種のCNGA3のミスセンス変異が報告され、変異が入ったcDNAをGFPベクターにクローニングし、HEK293細胞にトランスフェクトしてパッチクランプ法で解析した結果、チャネル機能(+)が2種、28℃での培養でチャネル機能(+)が3種で、残る10種は機能喪失型変異と考えられた。今回、新たな日本人の杆体一色覚患者について、ATF6以外の5種の責任遺伝子を調べ、CNGA3のM424Vの変異とコドン333における2塩基欠失の複合ヘテロ接合体であることが判明した。
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