研究課題/領域番号 |
25462715
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
金森 章泰 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10444572)
|
研究分担者 |
根木 昭 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00189359)
中島 一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50333810)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 視神経炎 / 視神経脊髄炎 / ラット / 血清 |
研究概要 |
ラットにおける視神経脊髄炎(NMO)モデル作成を試みた。ラット視神経鞘を切開して抗アクアポリン(AQP)4抗体陽性NMO患者血清を視神経に投与し、血清を含んだMQAを留置した。対照として正常ヒト血清あるいはAQP4陰性特発性視神経炎患者(AQP(-)群)血清でも同様の処置を行った。適切な日数で眼球を摘出し、網膜と視神経切片を作成した。上丘からのフルオロゴールドによる網膜神経節細胞(RGC)への逆行性標識を行い、RGC数を計測した。また、CD11の免疫染色により視神経内のマイクログリア数を計測した。各切片をNF、GFAP、AQP4で免疫染色し、輝度による定量を行った。またリアルタイムPCRにてNF、GFAP、AQP4遺伝子量を計測した。処置2週後のRGC数はAQP4陽性群で正常ヒト血清群、AQP(-)群に対し有意に減少していた(p<0.001)。またマイクログリアはAQP4陽性群で対照群に対し増加していた(p<0.001)。視神経の免疫染色による定量では処置後2週後にAQP4陽性群で有意なNFの低下(p=0.005)、処置後1週後のAQP4の減少(p=0.016)とGFAPの減少(p=0.026)を認めた。PCRでは処置2週後網膜のNFは有意に減少していた(p=0.027)。本法によりNMO患者血清により視神経障害が生じたと考えられ、本モデルはNMO病態解析や治療方法の検討に有用であると思われる。既にExperimental Eye Research で報告済みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
硝子体内投与を試みたが、炎症反応が強く、サンプルを取り出し定量化するにはいたらなかった。 また、各種蛋白の変化をウエスタンブロッティング法検討中であるが、視神経サンプルは蛋白量が少なく、まだ安定したデータ採取にいたっていない。 TUNEL染色やcaspase-3定量を視神経で行ったが、有意な結果は得られなかった。本モデルではアポトーシスによる細胞死は少ないものと予想される。
|
今後の研究の推進方策 |
軸索輸送障害がいつから生じているのか、経時的に観察するため、より早期(処置後3日目)のサンプルを取り、処置後7日、14日後のサンプルも用いて、kinesinやdyneinの定量を行う。また、臨床的には免疫グロブリンによるNMOの治療が模索されており、アクアポリン抗体中和の可能性を考え、本モデルにおいても腹腔内投与による効果を検証する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
試薬が予想より残存しており、新規購入が予定より少なかった。 残存試薬はほぼ使い切っており、新たに多くを購入する必要がある。
|