研究課題/領域番号 |
25462718
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
藤川 亜月茶 長崎大学, 大学病院, 講師 (60363503)
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研究分担者 |
築城 英子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30363493)
北岡 隆 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80234235)
鈴間 潔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80335265)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 眼科 / エストロゲン / ぶどう膜炎 |
研究概要 |
エストロゲンが、ぶどう膜炎にどのような影響をあたえているのかを明らかにし、ぶどう膜炎の治療に応用できるかを検討する。エストロゲンは性ホルモンの一種であり、ヒトの網膜には、エストロゲンレセプターαが存在する。ラットぶどう膜炎モデルにおいてエストロゲン投与により、細胞浸潤の抑制がみられる事が報告されており、エストロゲンが受容体を介して直接PI3-kinase作用を持つ事も報告されている。すなわちエストロゲンの抗炎症作用はぶどう膜炎に影響を与える可能性が有り、必要なシグナルを解明し、適切な治療を開発していく。 本研究における第一の特色はエストロゲンのシグナル伝達システムを解明し、その中で抗炎症作用をもつ部分のみを利用しようとする点である。現在ぶどう膜炎の治療としては副腎皮質ステロイドの投与が主流であるがそれ以外の治療法選択の幅はあまりない。抗TNFalpha抗体の全身投与が最近可能となったが適応が限られており、病態の分子メカニズム解明によるさらなる適応拡大が必要な状況である。これまでの報告からエストロゲンは生体内で生理的に強力な抗炎症作用を現わしていると考えられるため、その作用を利用できれば新たな治療ストラテジーとなると確信している。 またin situ hybridization法を用いる事で、眼内のどの部分でレセプターが発現しているのか確認する事が可能となる。In situ hybridization 法において、視覚による発色の比較は、時に困難な場合がある。そこで、我々の研究では、蛍光抗体を用いて、レーザー顕微鏡にて観察し、その発現強度を、数値的に比較検討しようとするものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
時間的に研究が予定通りに進んでいないので、今後の方向性を検討する
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今後の研究の推進方策 |
(1) ブタ脈絡膜血管内皮細胞、周皮細胞、色素上皮細胞をKing GLの方法( King GL et al, J Clin Invest 75:1028, 1985) により培養する。(藤川、鈴間) (2) Northern blot解析, Real time quantitative PCRによる遺伝子発現、LPSのbinding analysis、免疫沈降やwestern blotによる蛋白発現などの解析により各細胞におけるTLR4受容体発現を検討する。(藤川、築城) (3) LPSが各細胞に及ぼす作用を検討する。培養上清にLPSを加え細胞の透過性亢進に及ぼす影響をboyden-chamber法による電気抵抗およびアルブミン透過率等を測定し検討する。(藤川、北岡) (4) E-selectin, ICAM-1など細胞浸潤に関係する接着分子の発現量に対するLPSの影響をReal time quantitative PCR, Northern blot 解析やWestern blot 解析により検討する。エストロゲンを同時に負荷して同様に検討する。(藤川、鈴間) (5) これら一連のLPS、エストロゲンの作用がどのような細胞内シグナル伝達を介しているか検討する。IKKsやJNK、p38などのストレス感受性シグナル、NFkBやAP1などの転写因子の活性化を検討し、その結果に基づき阻害実験を行い接着分子やサイトカインの発現が修飾されるかを検討する。(藤川、築城) (6) ブタ大動脈より血管内皮細胞と平滑筋細胞を培養し上記実験を行い微小血管細胞との比較検討を行う。これによりぶどう膜炎が眼局所に起こりやすい機序が解明される可能性がある。(藤川、北岡)
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次年度の研究費の使用計画 |
実験の進行が遅れている面があるため 次年度の物品に使用する
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