研究課題/領域番号 |
25462719
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
川路 隆博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30423677)
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研究分担者 |
谷原 秀信 熊本大学, その他の研究科, 教授 (60217148)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家族性アミロイドポリニューロパチー / トランスサイレチン / 続発緑内障 / 硝子体混濁 |
研究概要 |
トランスサイレチン (TTR)の遺伝子変異が原因である致死性疾患の家族性アミロイドポリニューロパチー (FAP)は、肝移植の導入により劇的な生命予後の改善を得たが、肝移植後にも関わらず、硝子体混濁や続発緑内障などの眼症状の発症・進行は抑制されず、結果として重篤な視機能障害をもたらし、患者のquality of life (QOL)を大きく脅かしている。延命が可能となった患者のQOLを守るためには、眼症状の早期発見、進行抑制、治療技術の進歩のすべてが不可欠であるが、これまでの長年にわたる取り組みの結果、着実に成果を上げつつある。本研究計画では、特に早期発見(診断)技術の開発とそれに伴う病態の解明、および非常に難治である緑内障手術における合併症の克服に取り組む。 初年度は、以下の2点に重点的に取り組んだ。まずは眼合併症の早期発見のツール、もしくは予後の視標としての、インドシアニングリーン蛍光眼底検査の有用性を検討した。全身症状の発症前にもアミロイド沈着による過蛍光点を検出でき、早期発見に有用と思われる結果を得て、現在論文投稿中である。また、FAP続発緑内障に関して、線維柱帯切除術後に高頻度に生じる濾過胞のencapsulationが臨床上の問題となっているが、手術の長期成績を解析し、現在の治療法による限界を示した(PLOS ONE, in press)。さらに、メカニズムの解明を目的として、濾過胞動物モデルおよび培養細胞を用いて、異型TTRが結膜の創傷治癒機転に与える影響を解明中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①眼合併症の早期発見のツール、もしくは予後の視標としての、インドシアニングリーン蛍光眼底検査の有用性を検討、および③FAP続発緑内障に関する濾過胞のencapsulationのメカニズムの解明については概ね予定通りの進行であるが、②LC/MS/MSによる涙液や前房水を用いたTTR変異の解析は、条件設定がなかなか定まらず、やや進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①眼合併症の早期発見のツール、もしくは予後の視標としての、インドシアニングリーン蛍光眼底検査の有用性を検討、および③FAP続発緑内障に関する濾過胞のencapsulationのメカニズムの解明については、研究計画に沿って進めていく。②LC/MS/MSによる涙液や前房水を用いたTTR変異の解析については、条件設定により工夫を加えていく。
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