研究実績の概要 |
初年度に、家族性アミロイドポリニューロパチー続発緑内障に対する線維柱帯切除術の長期成績を解析し、術後に高頻度に生じる濾過胞のencapsulationが臨床上の問題となっており、現在の治療法による限界を示した(PLoS ONE, 2014)。この結果を受け、初年度と2年目においては、メカニズムの解明を目的として、濾過胞動物モデルおよび培養細胞を用いて、異型TTRが結膜の創傷治癒機転に与える影響を検討した。 動物モデルについては、アミロイド化したTTRを含むpoly HEMA切片をマウス結膜下に埋没し、poly HEMA切片単体をコントロールとし、2週間後、1ヵ月後に切片部分の組織検討を行った。コントロールに比べ、アミロイド沈着部位には単球主体の細胞浸潤を優位に認めた。そこで、マウスからfibroblastとmacrophageを単離し、TTR由来のアミロイドと共培養することで培養系におけるシグナルの解明を行った。1,2,4週後に上清を回収し、Proteome Profiler (R&D systems)で各種Cytokineを検出、比較した。アミロイド存在下においては炎症に関与するいくつかのサイトカインの上昇を認め、今後より詳細な解析が必要である。
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