研究課題
癌患者の一部に腫瘍組織と神経組織に共通抗原が生じるためこれらに自己免疫を獲得し、種々の神経障害を呈するparaneoplastic syndrome(PNS)が知られている。このうち癌関連網膜症では、同様な機序で網膜に対する自己免疫を獲得し、網膜色素変性様の進行性の網膜変性をきたす疾患で、現在のところ原因が不明で有効な治療のない難病である。これには肺癌等に随伴し、病理学的に視細胞が変性する狭義の癌関連網膜症CAR(cancer-associated retinopathy)と、悪性黒色腫に随伴し、CARとは臨床像が異なり、病理学的に網膜双極細胞が障害される悪性黒色腫随伴網膜症MAR (melanoma associated retinopathy)の2種類がある。さらにこれ以外に全身的に腫瘍が無いにも関わらず類似の網膜症をきたすことがありこれらをまとめて自己免疫性網膜症(AIR: autoimmune retinopathy)と呼んでいる。今回自己免疫性網膜症の発症機序を検討する目的で、今回申請者らの研究グループは平成25年より28年までの4年間になぜ腫瘍の違い、癌、悪性黒色腫、良性腫瘍で類似のあるいは異なる網膜自己抗体ができるのか?、またなぜ腫瘍が無いにもかかわらず、網膜自己抗体ができるのか?に対する回答を出すためにすでにCARおよび良性腫瘍で自己抗原として見出されているリカバリンとCAR およびMARで自己抗原として見出されているTRPM1について以下の4項目A)どのような癌、良性腫瘍にリカバリンやTRPM1がどのような頻度で異所性発現するのか?B)リカバリンやTRPM1がどのような機序で癌に異所性発現するのか?C)癌に異所性発現したリカバリンやTRPM1がどのような機序により自己免疫を獲得するのか?D)腫瘍に関係ないAIRの自己免疫を獲得の可能性の一つとしてmolecular mimicry(分子相同性)の可能性について生化学的、分子生物学的及び組織学的手法を総合して検討した。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 8件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 1件)
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