研究課題/領域番号 |
25462727
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (30613236)
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研究分担者 |
北脇 城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00204925)
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
横井 則彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60191491)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイボーム腺 / ドライアイ / 性ホルモン / 脂質分析 / 細菌 |
研究概要 |
1. 性ホルモンによるマイボーム腺と眼表面上皮細胞のヒトin vivoにおける細胞分化制御の解明のための研究 健常な、月経周期が正常な若年女性(平均32歳)6名を対象として、月経周期をI~VIのphaseに分割し、各phaseにおいて唾液中の性ホルモン濃度(遊離テストステロン、エストラジオール、プロゲステロン、DHEA)の測定とともにマイボーム腺分泌脂(meibum)の脂肪酸組成がどのように変化するかを検討した。meibumの脂肪酸組成は、Phase IIに飽和脂肪酸(SFA)が有意に増加し、一価不飽和脂肪酸(MUFA)が有意に減少するという周期的な変化が生じた。全脂肪酸に対するMUFAの割合は、唾液中のエストラジオールの濃度と負の相関を示したが、他の性ホルモン濃度との相関関係は認めなかった。このことは、マイボーム腺の周期的な変化、が女性における蒸発亢進型ドライアイやMGD、マイボーム腺炎角結膜上皮症の悪化と関連する可能性が考えられ、昨年の第67回日本臨床眼科学会で口演発表した。 また、マイボーム腺から純度の高い微量なmeibumをサンプリングし、細菌培養や脂質分析に供することができるmeibum採取器を新規に開発した。採取器で採取したmeibumはダビール匙を用いた従来法に比し、採取量そのものは減少するが、細菌培養ではコンタミネーションが減少し、脂肪酸の分析結果は従来法の結果と差がないことが明らかとなった。このことは、今年2月の角膜カンファランス2014で口演発表した。 2.マイボーム腺内の常在細菌叢の解明 健常者のマイボーム腺から採取したmeibumについて細菌培養を行い、常在細菌叢について検討中であるが、グラム陽性嫌気性菌であるPropionibacterium acnesが最も多く検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね順調に進行しているが、ホルモン補充療法を行っている更年期女性についてのマイボーム腺機能およびmeibumの脂肪酸組成の検討はまだ施行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、健常対象者数を増加させ、加齢に伴う性ホルモン濃度の変化とともにmeibumの脂肪酸組成がどのように変化するかを詳細に検討する。またmeibumの常在細菌と脂肪酸組成の変化に関わる解析を進め、さらに、マイボーム腺疾患(マイボーム腺機能不全やマイボーム腺炎角結膜上皮症など)患者についても同様の検討を行い、meibumの常在細菌の変化とmeibumの脂質組成の変化の関連について明らかにし、さらには治療前後での常在細菌およびmeibumの脂質組成についても検討し、効果的な新規治療プロトコールを確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
meibumの脂質分析について解析に要する初期値設定に時間を要し、当初の予定ほどにはサンプル数を分析できなかったため、その費用を次年度に使用することとした。ただし、初期値の設定は既に終了しており、信頼できるデータを得られるようになっている。このため、平成25年度に予定していたサンプル数のmeibumの脂肪酸分析は、平成26年度に予定通り行うことに計画変更する。これに伴い、マイボーム腺内の細菌培養サンプル数も増加し、これらの費用に充てる。また、H25年度に予定していた国際学会での発表を平成26年度に変更したため、旅費の一部を平成26年度に先送りした。 meibumの脂質分析、特に脂肪酸分析にかかる消耗品費用等、マイボーム腺内の細菌培養にかかる費用、そして平成26年度に発表する国際学会(第4回アジア角膜学会等)への出張旅費に充当する。
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