研究課題/領域番号 |
25462727
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30613236)
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研究分担者 |
北脇 城 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00204925)
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
横井 則彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60191491)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マイボーム腺 / ドライアイ / 性ホルモン / 脂質分析 / 細菌 / 過酸化脂質 |
研究実績の概要 |
健常な30 代および60 代の男女、それぞれ6名を対象としてマイボーム腺分泌脂(meibum)の脂肪酸組成について性差と加齢性変化について検討した。また、マイボーム腺機能不全(MGD)患者20例を対象とし、健常者と比較した。採取したmeibum はメチル化誘導体化後、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)を用いて脂肪酸組成分析を行った。30代では、男性に比べ、女性の方が直鎖飽和脂肪酸(SSFA)が有意に多く、1価(MUSA)および多価不飽和脂肪酸(PUFA)は有意に少なかった。60代では、逆に、PUFAのみ、女性が有意に多かった。若年女性に比べ、高齢女性では、SSAFの割合が有意に減少し、分枝飽和脂肪酸(BSFA)、PUFAは増加する傾向にあった。若年男性に比べ、高齢男性になるとSFAの割合には有意差なかったが、PUFAの割合が有意に減少していた。若年女性で有意にパルミチン酸やステアリン酸といったSSFAが多く含まれていた。meibum の脂肪酸組成には明らかな性差や加齢性変化が認められ、これらの変化がMGDや蒸発亢進型ドライアイと関連する可能性が考えられた。 MGDでは健常な高齢者のmeibumと比較してSSFAおよびBUFAの割合が有意に増加し(p<0.05)、BSFの割合が有意に減少していた(p<0.05)。このことは、MGDでは、meibumの飽和脂肪酸の割合が増加することがmeibumの融点を上昇させ、結果としてmeibumの粘度の上昇・固形化、ひいては涙液油層の不安定化につながるものと考えられた。 健常者、MGD患者のマイボーム腺から採取したmeibumについて細菌培養を行い、検討を続けている。若年者ではPropionibacterium acnesが、高齢者ではStaphylococcus epidermidisの検出が多いという予備的な結果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果の一部は英文論文発表したが、さらにデータをまとめ、論文投稿する予定である。さらに、健常者、マイボーム腺異常患者のmeibumの脂質分析の解析とマイボーム腺の常在細菌の一つであるPropionibacterium acnesの亜型解析を進める。
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