研究実績の概要 |
マイボーム腺機能不全(MGD)を、炎症の明らかなマイボーム腺炎meibomitisと明らかでない閉塞性MGD(oMGD)に分類し、マイボーム腺分泌脂meibumの脂肪酸組成と脂質過酸化物(HPO)について検討した。meibomitis 10例、oMGD 9例、健常者(NL)12例を対象とした。採取したmeibumは、速やかにクロロホルム/メタノール(A)あるいはベンゼン(B) に溶解し,-20℃で保存した。Aのmeibumは、メチル化誘導体化後、ガスクロマトグラフ質量分析法を用いて脂肪酸分析を行った。Bのmeibumはトリフェニルホスフィン誘導体(spy-LHP, dojin)と反応させ、生成物の535nmの蛍光強度によりHPOを定量した。遊離コレステロール(FC)はHPLC法で測定した。健常者に比べ、oMGD、meibomitisともに、直鎖飽和脂肪酸(SSFA)の割合が有意に増加し(NL:2.8%, oMGD:6.2%, meibomitis:3.8%, p<0.05)し、meibomitisで多価不飽和脂肪酸の割合が増加していた(NL:3.4%, meibomitis:3.8%, p<0.05)。HPO/FCは、健常者に比べoMGD、meibomitisで有意に高かった(NL:163.5, oMGD:257.3, meibomitis:685.2, p<0.05)。MGDではSSFAおよびHPOが増加することによってmeibumの粘度上昇やマイボーム腺および眼表面の炎症に関連している可能性が示唆された。
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