研究課題/領域番号 |
25462729
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
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研究分担者 |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40433362)
山中 修 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50254545)
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264891)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 組織瘢痕化 / 成長因子 / TRPイオンチャネル / 角膜 / 眼 / ノックアウトマウス / 細胞培養 / 水晶体 |
研究実績の概要 |
各種TRPチャンネル (TRPV1, TRPA1, TRPV4)の発現が角膜上皮に観察された。アルカリ暴露で炎症下にある実質細胞でも発現が増強し、上皮、実質細胞でのTRPチャネル群が角膜創傷治癒に積極的に関与していることが想定された。この疑問に答えるべく研究を行った。これらの遺伝子ノックアウトで、マウス角膜のアルカリ暴露後の線維・瘢痕化の抑制を実現できた。具体的にはマクロファージの侵入抑制、実質細胞の筋線維芽細胞への転換が抑制され、実質の組織治癒に関係する各種細胞外マトリックスの発現がmRNAレベルで減少した。In vivoフェノタイプは、各TRPチャネルの阻害薬の全身(腹腔内)投与で再現できた。各ノックアウトマウス由来の培養マウス線維芽細胞で、線維化に関与するTGFb由来シグナル(各種MAPKやSmad)の活性化を各種TRPチャンネルが制御していることが判明した。しかし、各TRPチャネルの炎症や線維化に関連するシグナルへのクロストークにはバリエーションがあることも判明した。TRPV1とTRPA1はSmadやMAPKにクロストークしていた。TRPV4シグナルはTGFb1発現に関与せず、インターロイキン6の発現制御を介して、組織線維化にプラスに関与していることを解明できた。結膜瘢痕でも同様のメカニズムが備わっていると予想されたが、予備実験に止まった。マウス水晶体ではTRPチャンネルの上皮ー間葉系移行を介した線維・瘢痕化への影響は少ないと思われた。培養細胞を用いたTRPM8の役割研究とTRPM8ノックアウトマウスを用いた研究はマウスの繁殖にとどまり、今後の研究課題として残された。各種TRPカチオンチャンネル由来のシグナルは、眼組織の創傷治癒と線維化に元来これに関与するサイトカインシグナルとのクロストークを介して関与していることが明らかとなった。
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