研究課題/領域番号 |
25462732
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
黒坂 大次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20215099)
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研究分担者 |
玉田 邦房 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (20583610)
橋爪 公平 岩手医科大学, 医学部, 助教 (50407095)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | TGF-β / ROCK阻害剤 / 水晶体上皮細胞 / 上皮間葉系移行 |
研究概要 |
ブタ水晶体を摘出し、初代培養から継代し、コラーゲンゲル培養、PCR用の細胞を作製した。 上記に対し、TGF-β 5-10ng/mlの濃度で投与し、コラーゲンゲルが有意に収縮することを認めた。さらにPCRにて、TGF-β 5-10ng/mlの濃度で、α平滑筋線維アクチンならびにコラーゲンI型の産生が48、72時間で有意に上昇すること、さらに12、24時間では有意な上昇は認められないことを認めた。 これらによって、基本的な培養モデルは、得られたので、これらに対し、選択制Rock阻害剤(Y-27632)を用いてゲル収縮、コラーゲン、α平滑筋線維アクチンの発現に対する影響を観察した。 コラーゲンゲルに対しては、10μM Y-27632は、有意にTGF-βによるゲル収縮促進を抑制した(P<0.0001).この収縮にMLCKが関与しているか、実験を繰り返している段階であるが、大きな関与がないと思われる。 また、コラーゲン、α平滑筋線維アクチンの産生に対する影響も、予備実験を終え、最終確認している段階である。 上記のデータは、まだ一部最終確認が必要なものの、TGF-βによる水晶体上皮細胞の上皮間葉系移行(EMT)に対し、選択制Rock阻害剤(Y-27632)が抑制的に働くことを示唆していると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上皮間葉系移行にあっては、PCRでの条件設定にやや時間を要し、追試実験が完了していない(平成26年3月終了予定)が、約3か月遅れで、平成26年6月頃に終了する予定である。 この遅れは、大学院生の新規入学に伴い、実験手順が不慣れで安定した成績が出なかったことによるが、26年1月以降は、ほぼ安定してきたので、今後は順調に経過するものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PCRによるコラーゲンゲル、α平滑筋線維アクチンの産生に対するY-27632の効果を確定する。コラーゲンゲルについては、MLCKの関与が少ないことを確かめるとともに、最近、この分野では、Rhoシグナルの下流での様々な知見が得られ、従来考えられていたSMAD系よりもむしろ、MRTF-SRFなどの働きが重要であるとの報告が他の細胞でなされている。従って、今後は、MRTF-SRFが水晶体上皮細胞における上皮間葉系移行に関与するかどうかを明らかかにするとともに、こららの阻害剤がTGF-βによる上皮間葉系移行の抑制に有効に作用するか検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究進行が多少遅れたために、未使用額が生じた。 遅れた部分については、平成26年度に追加で実施する予定であり、さらに、研究体制が整ったことにより、研究を迅速に進め、当初の予定のように平成26年度の実験も行うようにしたい。
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