研究課題/領域番号 |
25462735
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
篠田 啓 帝京大学, 医学部, 教授 (60245561)
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研究分担者 |
今村 裕 帝京大学, 医学部, 講師 (20276215)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 経角膜網膜電気刺激 |
研究概要 |
正常人に対する経角膜網膜電気刺激の安全性と短期効果を電気生理学的に評価するための方法を検討した。臨床でも用いられる電気生理学的検査法としてERG、多局所ERG(mfERG)、黄斑局所ERG、パターンERG、そして視覚誘発電位(VEP)などがあるが、このうち、mfERGとVEPについては、その刺激モニターについて、近年CRTが入手困難となったと言う社会的背景がある。そこで代わりとなる液晶ディスプレイ(LCD)の有用性を検討し、VEPについては、モニターの種類による特性を理解して使用すれば対応可能であるという見解を得た。 すなわち、パターンVEPの刺激装置としてLCDを用いた場合の問題点を検討した。チェッカーボードの反転、特に黒から白に反転する際に液晶ディスプレイでは一時的に輝度低下が生じるため反転の遅れが認められた。これをフラッシング効果と呼称しその影響を調べたうえで影響を最小限にする工夫を模索した。その結果、フラッシング効果はERGを惹起しそのVEPへの混入が生じることが分かった。そして、このフラッシング効果を減じるための工夫として、標準的な60HzLCDモニター(反応時間5msec)ではなく、120HzLCDモニター(反応時間)2msecを用いる、チェッカーボードのコントラストを低下させる、などが有効であることが分かった。 実際の誘発反応は、LCDを用いた刺激でもN75, P100成分を有する反応が得られたが、CRTと比較して振幅の増加と潜時延長を認めた。そして、前述のような工夫によりERG成分の混入をほぼ除去することが出来、これらに留意した上でなら、LCRモニターはパターンVEPの記録装置としての使用が可能と結論した。 さらにはLCDに代わる有機ELモニターなどの有用性や、mfERGやパターンERG記録の際のこれらモニターの有用性も検討した上で、これらを経角膜網膜電気刺激の効果の客観的評価に用いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
正常人に対する経角膜網膜電気刺激の安全性と短期効果を電気生理学的に評価するための方法を検討したが、特に客観的評価法として優れた電気生理学的手法において、近年モニターが入手困難になるという社会的事情が生じているためこの問題の解決が急務と考えた。そこで、黄斑部網膜、視神経、そして大脳皮質視覚野にいたる視覚伝導路の総合的評価法であるパターン視覚誘発電位記録について、CRTモニターの取って代わるべきLCDモニターの有用性や有効な使用法を検討することに予想外の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
さらにはLCDに代わる有機ELモニターなどの有用性や、mfERGやパターンERG記録の際のこれらモニターの有用性も検討した上で、これらを経角膜網膜電気刺激の効果の客観的評価に用いたい。 その上で並行して経角膜電気刺激の効果の評価、また、臨床応用のシステム構築も進める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度参加した学会旅費分が、年度末であったため次年度に繰り越しとなりました。その他、健常者および患者さんを対象とした経角膜網膜電気刺激の効果の評価方法の確立に時間がかかっており、刺激の実施が次年度にずれ込んだため、一部費用が余っています。 次年度は経角膜網膜電気刺激の実施と、経皮膚電気刺激装置の確立のために電極や健常者への謝礼金などで、繰り越し分と次年度分を有効に使用する予定です。
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