最終年度においては、糖尿病黄斑浮腫の新たな治療開発に関して、現況の第一選択治療とされるVEGF阻害薬の有効性が症例によって異なることを示し、治療開始前の眼内環境因子である前房内サイトカイン濃度測定によって、そのVEGF阻害薬治療に対する反応性の違いを類推することが出来ることを発見し、発表することが出来た。 研究期間全体を通じて、糖尿病黄斑浮腫に対する新たな治療開発として、VEGF阻害薬治療に抗炎症ステロイドの局所投与を併用することで、視機能予後に有意差こそ見出せなかったものの、高価なVEGF阻害薬投与間隔を延長させることが出来ることを見出し、英文論文による発表1編として公表することが出来た。さらに、前房水測定による糖尿病黄斑浮腫の病態解明にあたって、VEGF阻害薬治療中にVEGF以外のサイトカイン濃度が変化していくことを発見し、特にIP-10とPDGFの動態が視機能予後と密接に相関していることを国際学会で発表することが出来た。一方先述したように、VEGF阻害薬治療に対する反応性は、VEGFレセプター1経路での前房水中のサイトカイン濃度が高いほど良好であることを示し、やはり国際学会にて発表することが出来た。現在これらは2本の英文論文として、1本はすでに投稿中、もう1本は投稿準備中である。糖尿病黄斑浮腫に対する血流測定については、正常者の血流測定が定量出来ることを証明し、英文論文として発表することが出来たが、糖尿病黄斑浮腫に対する血流測定は出血や水晶体混濁などの影響もあって思ったような計測ができす、今後の課題としたい。
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