研究概要 |
網膜色素変性およびその類縁疾患は、本邦における失明原因の上位に位置し、治療法の開発が急務でありながら、現在、決定的な治療方法が確立していない難病である。網膜色素変性およびその類縁疾患の原因は多岐にわたり、原因となる遺伝子変異を特定することは困難である。本研究は、候補遺伝子の分子遺伝学的アプローチにより、原因となる遺伝子変異を検出・特定し、表現型との関連性について明らかにすることを目的とした。 研究実施概要 1. 当科の網脈絡膜変性疾患専門外来にて、対象疾患が疑われた症例に対し、臨床診断を行った後、遺伝子診断・解析の意義について十分に説明した。遺伝子解析に対し、インフォームド・コンセントを得た後、末梢静脈血を採取した。白血球分離後、高分子ゲノムDNAを抽出後、冷蔵庫に保存し、一部は、エタノール沈殿下で半永久的に冷凍保存した。 2. 平成25年度は、候補遺伝子に対して、Sanger法で各エクソンの塩基配列を決定した。原因遺伝子を特定できない場合、次世代シークエンサを用い、候補遺伝子を絞り、再度、Sanger法で遺伝子変異の有無を確認した。 3. その結果、常染色体優性網膜色素変性、常染色体劣性網膜色素変性、Leber先天盲で、いくつかの原因遺伝子を特定した。変異が検出された遺伝子は、ALMS1, RHO, PRPH2, C8orf37, EYS, CNGA1であった。今後は、遺伝子変異と疾患との連鎖・共分離を確認する目的で、できる限り、遺伝カウンセリングとともに家系調査を実施していく予定である。
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