研究実績の概要 |
膜受容体蛋白であるToll like receptor4 (TLR4)は細胞死関連受容体として多くの細胞死に関わっている。そのリガンドとして多くの分子が報告されているが緑内障での主たる障害細胞である網膜神経節細胞の変性に関わるリガンドの報告は少ない。緑内障類似モデルとして視神経座滅を野生型マウス(C57BL/6)に施し、網膜神経節細胞採取後TLR4で免疫沈降し、その相互蛋白を質量分析 (mass spectrometry; MS)し、Histone H2B (H2B)が検出された。この結果はH2BがTLR4のリガンドとして機能していることが示唆された。 次にH2Bを野生型マウス及びTLR4 Knock out mice (KO mice)に300umol投与すると野生型では約40%網膜神経節細胞死に対しKO miceでは10%と有意に減少していた。H2b投与後炎症性サイトカイン(TNF,IL-1β,TGFβ)をReai time PCRで検討した。野生型では炎症性サイトカインの有意な上昇がみられたが、KO miceでは有意な上昇は認めなかった。 またH2B投与後の細胞死関連因子のMitogen Activated protein Kinase (MAPK)のリン酸化をImmuno blotで検討した。野生型ではERKのリン酸化の減少 P38及びJNKのリン酸化の上昇が認められたが、KO miceではこれらの変化は抑制された。 本結果からH2BはTLR4を介して網膜神経節細胞死が生じておりその経路は炎症性サイトカイン 細胞死関連因子を介して生じていることが判明した。
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