研究課題/領域番号 |
25462740
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
義澤 克彦 関西医科大学, 医学部, 講師 (70548396)
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研究分担者 |
圦 貴司 関西医科大学, 医学部, 講師 (50330212)
螺良 愛郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (90098137)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 網膜色素変性症 / 視細胞 / 緑茶抽出物 / エピガロカテキンガレート / 酸化ストレス / MNU / 動物モデル / 視細胞 |
研究実績の概要 |
酸化ストレスが関与する眼科疾患の代表的なものに網膜色素変性症(RP)がある。最終的には失明を来す疾患であるが根本的な薬物治療法はなく、病態の理解と治療法の開発が急務といえる。本年度はアルキル化剤であるメチルニトロソ尿素(MNU)誘発ラットモデルを用いて、緑茶抽出物(テアフラン90S)の病態抑制効果の有無につき検証した。 7週齢SD系雌ラットに40mg/kg MNUを単回腹腔内投与し、MNU投与3日前から屠殺前日までGTE250mg/kg連日計10日間経口投与した。解MNU投与7日後の視細胞比率はMNU単独vs MNU+GTE群:中心部9.98% vs 17.18%、辺縁部31.96% vs 4 2.85%とMNU+GTE群で各々有意に高く,網膜傷害率もMNU単独群88.1 %に対しMNU+GTE群61.0%と有意に傷害を抑制した。MNU投与後7日のPDE6b並びにロドプシン免疫染色では視細胞外節に陽性像が観察され、MNU単独群に対し、MNU+GTE群では有意に網膜保持率(網膜全長に対する各抗体での外節陽性長)が高かった。TUNEL染色ではMNU投与24時間後における陽性細胞数/mm2はMNU+GTE群中心部網膜で有意な減少を認めた。MNU投与日の血清・網膜中のエピガロカテキンガレート(EGCG)濃度を測定したところ、血清、網膜共に1時間後をピークに高濃度のEGCGが検出された。以上の結果から、緑茶抽出物を経口投与することによりMNU誘発網膜変性症を抑制することができた。この効果は網膜移行したEGCGの抗酸化作用により視細胞アポトーシスが抑制されたことによると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
緑茶抽出物を用いたMNU誘発網膜色素変性症モデルの病態抑制効果とそのメカニズムを明らかにし、学術論文として公表できた。さらに、網膜色素変性症モデルを用いた治療法確立について我々のデータとともに整理し、著書として出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在、単独でMNU誘発網膜変性症モデルで有効であったクルクミンと緑茶抽出物の併用効果について検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年2月に予定していた動物実験が2015年5月にずれ込んだため、動物購入費用・物品費(試薬代)の発生が2014年度内に発生しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年5月に動物実験開始予定であり、動物購入費用・物品費(標本作製に使用する試薬代、免疫染色に用いる一次抗体やキットの費用)に使用する。
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