研究課題/領域番号 |
25462744
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
赤堀 正和 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 分子細胞生物学研究部, 研究員 (30343544)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | エクソーム解析 / 遺伝性疾患 / 網膜 |
研究概要 |
網膜の疾患は遺伝性の網膜疾患であることが多く、欧米では既知遺伝子変異の網羅的な解析により疾患の高い割合を占める遺伝子変異を報告している。しかしながら日本人は欧米人とは遺伝的背景が異なり、欧米での知見をそのまま用いることは出来ず、網羅的に候補原因遺伝子のエクソン配列を解析する必要がある。そこで本研究では、次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析による膨大な変異情報の中から効率的に網膜疾患関連遺伝子の解析をおこなう「網膜疾患に特化したパイプライン」を構築することを目的としている。本研究成果を用いて日本人特有の遺伝子変異を数多く発見することは今後ますます重要になると考えられる。 平成25年度はまず、OMIM に記載されている情報を元に遺伝性網膜疾患に特化したエクソーム解析パイプラインを構築するために、網膜疾患関連キーワードとして54の疾患名を選別した。これらのキーワードから遺伝子名や遺伝子のエクソン情報などをOMIMやUCSC Table Browserを利用し簡便に得られるようにすることが出来た。また、いくつかの全エクソン濃縮キットを検討し、Sureselectを用いて劣性遺伝型網膜疾患家系の検体についてエクソーム解析を行い、Broad研究所が作成したガイドラインに従い、マッピングや変異抽出をおこなったのちに人種別頻度情報や遺伝子情報などのアノテーション付けをおこない疾患原因候補変異を抽出し、さらに家系情報や予測される遺伝型を元に疾患原因候補変異を絞っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソーム解析を利用し網膜疾患に特化した遺伝子解析方法を確立することを研究目的とし、平成25年度は、(1) 健常者検体を用いてエクソーム濃縮キット検討のためのエクソームシーケンスをおこなう、(2)エクソームシーケンスの結果得られる配列情報により網膜疾患専用エクソーム解析パイプラインの構築をおこなう、(3) 次に作成した網膜疾患解析パイプラインを用いて、網膜疾患原因遺伝子に最も適した全エクソン濃縮キットを選び、収集した症例のエクソーム解析を実施した。その結果、東京医療センターの眼科医師らの協力により網膜疾患に関連するキーワードとして54の疾患名を選び、これらの疾患原因遺伝子のエクソン領域情報を簡便に得ることが出来るパイプラインも作成出来ており概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度の成果を踏まえ、OMIMによる網膜関連疾患原因遺伝子のみならずRetnet (Retinal Information Network)に記載されている網膜疾患原因遺伝子も追加し随時解析対象遺伝子を追加していくことを予定している。網膜疾患家系のエクソーム解析を行う際に遺伝型が合わないことや候補遺伝子変異の数が多く原因を特定しにくいことなどの問題点が生じる可能性があるが眼科医師からの助言を得ながら出来る限り原因変異を特定していきたい。
|